800字小説練習(SB69) Yokai streetの夏も他の地域同様暑い。朝には家の前で打ち水をする住民たちがちらほら見え、一日の始まりから蝉の合唱がわしわしと大雨の如く降り注ぐ。その鳴き声に起こされる事もしばしばだ。
自分の部屋で小説の海にどっぷり浸かって集中していたでゅらでゅらの元へ、打ち水を終えたまりまりが扉をノックして声を掛けて来た。
「でゅらでゅら、もうすぐ朝ご飯が出来るばい」
もうそんな時間か。まりまりの可愛らしい声に呼ばれたのなら行かねばなるまい。
本に栞を挟んで机に置いて、暑い夏なのでマントも外套を脱いだ腕を捲ったブラウスの姿で部屋を出る。
「お待たせ、まりまり」
「全然待っとらんとよ。あれ、珍しい格好ばしとっとね」
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