身も恋も溶かすのはきみヒトリ「やあ、松井江。出陣お疲れ様」
「蜂須賀虎徹、ただいま。今日は君が昼当番なんだね」
「ああ。すぐに食べるかい?」
「そうしたいのだけど豊前が帰還途中から眠そうでね……。寝かせてきたらすぐ食べるよ」
「了解した。きみたちの分は取り分けておくね」
「ありがとう」
上手く誤魔化せただろうか。
豊前が眠いというのは、嘘だ。僕も豊前も戦闘の興奮がまだ体に燻っていて、興奮している。周りに悟られないよう平静を装っているが、それにも限界がある。なんとか部屋に辿り着くなり、豊前は噛み付くようなキスをしてきた。熱い、溶けそうだ。
唇が合わさっただけなのに、全身が沸騰したように熱くなっている。お互いのジャケットは畳の上に放り投げた。後で畳まないと皺になるなあ、なんてことを考える余裕はこの時まで。豊前はキスを続けながら、僕の胸を弄る。つねったり摘まんだり。裾から入り込んだ長い手が伸びてきて、胸や腹をまさぐる。うそれだけで思考は停まりそうなのに、豊前はキスを止めない。何度も何度も舌を絡め取られて、豊前の唾液が僕のと混ざる。
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