ヒトフリの魔法-赤井Side-
「任務以外で、あなたが女性に興味を持つなんてことあるのかしら。せっかくこんなに良い雰囲気の店に呼び出しておきながら……あなたのその顔、私にはまったく興味がないって感じね」
「あいにく、興味があるのはこのデータの中身だけでね」
「まったくひどい男ね。こんなときは、嘘でも何か気の利いたことを言うものよ」
「……言う必要があればそうするがな」
「私には言う必要がないってこと? 失礼しちゃうわね。バーボンはとても気が利く良い子なのに、あなたときたら……」
「……バーボンに会ったのか?」
「あら、随分と怖い顔。バーボンと私の関係が気になるの?」
「…………いや」
「ふふ。あなたの気にするようなことは何もないわよ。ほんの数回、取引で会っただけ。それにしても、今の顔すごく良かったわね。余裕のない感じで。あなたのそんな顔、もっと見てみたいわ」
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