旬が暇さえあれば卵を温めるようになった。いつでもというわけにはいかないので、離れるときは毛布なんかを巻く。
卵といっても、ニワトリなんかのやつとは全く違くて、ダチョウよりも大きい。小柄な旬がその卵を落としたりしないか、いつもヒヤヒヤして見守ることになった。
「お風呂なんかも一緒に入るんです。日によってはお湯が溢れて大変なんですよ」
はあ、そうなのか、と相槌をうつ。
「そもそもその卵ってなんなんだ? もしかして旬が産んでるのか? なんて……」
旬は俺をじろりと睨んで、
「そういうこと聞くの、デリカシーがありませんよ」
え、そうなんだ、ごめん……。
ユニットメンバーたちも特に違和感なく受け入れてるようで、頑張ってるよなーなんて明るく話しながら見守ってる。なんの卵なんだよ、あれ? でもデリカシーがないと嫌われたくないので、黙っておくしかない。仕事に支障が出ているわけでもないのだ。俺も見守ろう。
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