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    koyubikitta

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    koyubikitta

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    謎の俺P×旬 たまご

     旬が暇さえあれば卵を温めるようになった。いつでもというわけにはいかないので、離れるときは毛布なんかを巻く。
     卵といっても、ニワトリなんかのやつとは全く違くて、ダチョウよりも大きい。小柄な旬がその卵を落としたりしないか、いつもヒヤヒヤして見守ることになった。
    「お風呂なんかも一緒に入るんです。日によってはお湯が溢れて大変なんですよ」
     はあ、そうなのか、と相槌をうつ。
    「そもそもその卵ってなんなんだ? もしかして旬が産んでるのか? なんて……」
     旬は俺をじろりと睨んで、
    「そういうこと聞くの、デリカシーがありませんよ」
     え、そうなんだ、ごめん……。
     ユニットメンバーたちも特に違和感なく受け入れてるようで、頑張ってるよなーなんて明るく話しながら見守ってる。なんの卵なんだよ、あれ? でもデリカシーがないと嫌われたくないので、黙っておくしかない。仕事に支障が出ているわけでもないのだ。俺も見守ろう。
     そしてある日、俺と旬が二人になったタイミングで、
    「そろそろいいかな」
     と旬がつぶやいて、ものさしで卵をコツコツと叩き出した。
     おいおい、そういうのって自然に産まれるのを待つんじゃないのかよ、と止めようとしたが、気が付けば卵の表面にはたくさんのヒビが入っていて、旬はそこに指を差し込んでぺりぺりとめくっていく。躊躇せず、ぺりぺりと。
     そして、
    「ほら、火が通りました」
     ……出てきたのは、ヒヨコなんかじゃなくて、ゆで卵だった。火とか通してないんだけど、なにそれ?
    「これ、花型に切って、お弁当に入れてあげますからね」
     と俺に向かって言う。訳がわからずぽかんと口を開けていると、
    「手作りお弁当作ってくれる子が好きって、言ってましたよね?」
     照れながら目を逸らして、ああ、俺のためにここ最近卵を温めていたのか、可愛いところあるなあ、なんて思った。
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    matchajio36

    MOURNING【マイバジ】
    文字数オーバーしてしまってますがこのお題でどうしても書きたかった吸血鬼ネタがあったので書きました🙏(※マが吸血鬼です)

    貴方はマバで『いくらでもくれてやる』をお題にして140文字SSを書いてください。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/587150
    マイバジ 『いくらでもくれてやる』 ぢゅるり。血を啜る音が鼓膜を震わせる。首筋にかかる熱い吐息も、ねっとりと這う舌の動きも擽ったくて堪らない。バジ、と熱っぽく名前を囁き、未だ飢えの収まらぬ瞳で射貫くように見つめてくる万次郎の後ろ頭に場地は右手を伸ばし、ぐっと引き寄せた。再び首筋に顔を埋める体勢になった万次郎は一瞬息をのんだが、噛み痕から伝う真っ赤な血と唆られる香りに繋ぎ止めていた理性がぐらりと揺れた表情を見せた。離れようとする頭を逃さぬようにぎゅっと抱き込めば、諦めた万次郎は衝動のままに首筋へと被りつく。鋭い牙がブツリ、と新たに皮膚を突き破る痛みに顔を歪めながらも、場地は万次郎の衝動が収まるまで離れる気はなかった。血に飢えた幼馴染を助けたい、その為ならこの身がどうなろうと構わないから。必死に血を啜りながら抱き締めてくる万次郎の頭を、まるで子どもをあやすかの様に優しく撫で続けた。
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