その青に祝福を マイルームに漂う、甘い芳香。無造作ではあるが、空き瓶に一輪の薔薇が飾られているせいだろう。咲き誇る真紅の薔薇を前にして、今回の一件を思い返してか、感慨深げに微笑むマスターのすぐ隣で、いかにも怪訝そうな表情を浮かべつつ苦言を呈するのは、アサシンのサーヴァント、テスカトリポカだ。
「……ったく、一体どうなってやがる。神霊だろうと反英雄だろうと、カルデアのマスターは構わず使役するんだからな。何でもありってのはわかっちゃいたが……さすがに獣は無いんじゃないか?」
「それはまあ、うん……ポカさんの言う通りだし、オレも正直驚いてるんだけど」
「だろうな」
苦笑と共にそう言いながらも、彼は先程からマスターの視線の先にある一輪の薔薇が気になるらしく、やはり訝しむような面持ちで問いかけた。
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