時々家を訪ねてくる一人の女性がいる。エレゼン族ですらりと背が高く、髪は短く切り揃えられた美人だ。師匠と話したり、彼に服を渡して着せたりしている。どういう関係なのかはよく分からない。でもきっと悪い間柄ではないのだろう。彼が歓迎しているのだから。
(ちゃんと紹介してくれたっていいと思うけど!)
まったくされてないわけではない。でもそれは「私の友人だ」なんて本当にちょっとのものだった。仮にも師匠であるのなら、弟子である自分に対してもっといろいろ教えていいはずだろうに。例えばエタバンしてる相手のことすら教えてくれないなんて、一体全体どういうことだろう。
「……あ、そうだ!」
あれだけ大切にしている指輪の相手のことだ。きっと友人になら話している。私は己のひらめきに胸躍らせながら、彼が席を立ったのを見計らって客人に近づいた。
「ねぇ、聞きたいことがあるのだけど」
不思議そうな顔をしてこちらを見つめる。さて何から聞き出そうかしら。