金色の靄 ルカを護るために自分の能力を使う――そう心に決めていた。日の当たらない社会で危険を顧みず独走する獅子を、愛してしまったから。
だがつい先日、ルカへの想いが募るほど呪力にブレが生じていることを自覚し、やっとの思いでルカに打ち明けた。それも、すべて伝えるまでとんでもない時間をかけて。
「大変だね、おれは呪術師じゃないからさっぱりだけど」
柔らかな同意とともに、肩を抱き寄せてをして安心させてくれる。ひたすらに普通を演じていればよかったが、もはや隠し通せない状態になった時の無力感と絶望感。それを、非難するでも憐れむでもなく、全て受け止めてくれたのもルカだった。
「動物と触れ合うのは、ヒーリング効果があるんだって」と、ルカが少し前に家に連れ帰ったブロンドの仔犬は、部屋の隅で丸くなってまどろんでいる。
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