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    tukune_xxx

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    ギャグ寄りの過去のお話
    真菰ちゃん目線のやつ
    ギャグよりなので温かい目でみてください

    ##錆義

    錆兎君は今日も残念だ

     私の幼馴染みの錆兎が〝おかしい〟という事に気がついたのは幼稚園の頃。
     どのクラスにも一人くらいいる〝格好いい男の子〟錆兎はそれに分類される。そう言った男の子はモテる。
     頬に傷はあるものの基本的には顔が整っており、男らしい部分とそして女の子への配慮も決して忘れない。錆兎は幼稚園児ながらも同い年の女の子の視線を釘付けにしてきた。時より先生までもが錆兎の魅力に取り憑かれ、風の噂によりと錆兎のファンクラブと呼ばれるものがあったそうな。
     そう言った意味でも錆兎は〝おかしい〟と思うが、私が思う〝おかしい〟部分はそこではない。それは――――
    「義勇、手出せよ」
    「どうしてだ?」
    「お前、いつもフラフラしてるから危ない、だから手を貸せ。繋いでやるから」
    「うん」
     家が近い子たちが集まって一緒に幼稚園へ歩いて行く。子供同士が二人ずつ手を繋ぐのだが、錆兎はいつも私のもう一人の幼馴染み・義勇と手を繋ぎたがる。二人はいつも一緒にいるので仲がいいだろうと思っていたが、義勇が他の子と手を繋ごうとすると「義勇の手は俺のだから」と言い、義勇が他の子と手を繋ぐのを阻止しようとする。それも男女問わずだ。
     それは小さな独占欲だったのだろう。誰の目から見ても錆兎は義勇のことが大好きなのが丸わかりだ。冗談交じりに「錆兎は義勇と結婚したいの?」と聞いてみると錆兎は誇らしげな顔をしながら「義勇は俺のお嫁さんにしたい」と言った。その後「男同士で結婚はできないよ」と伝えると「そんなもの俺が法律を変えて見せるから大丈夫だ」と言った。その言葉を聞いた瞬間、私は錆兎の事を全力で止めなければいけないと心に誓う。
     錆兎も錆兎で義勇に対して妙な感情を持っていることを知られるのが嫌なようで必死で隠そうとしていた。そのおかげか義勇には気が付かれていないが、私からみればバレバレだった。
     
     私達は幼稚園を卒園し小学校に入学する。
     小学校に入学しても錆兎は相変わらずモテた。小学一年生にして高学年の女子から告白を受けていたが錆兎はどうやら告白を断っているようだった。
     流石に小学生になったのだから義勇と手を繋がないと思っていたが、錆兎は毎日のように義勇と手を繋いでいた。
    「いい加減に手を繋ぐのやめなよ」と錆兎に言ってみるが「義勇が心配だからダメだ」と言って聞かない。
     義勇も義勇で「錆兎が手を繋いでくれるから嬉しい」などという。これが男女ならば可愛いものだろうと思うが、錆兎も義勇も男同士だ。
     小学校三年生になった私達は次の音楽の時間にリコーダーのテストが行われる事を知った。私は音楽が得意でリコーダーも上手に吹けるが、錆兎と義勇は壊滅的に下手である。ぴょろりろひぃ〜、などというリコーダーらしかぬ音が聞こえてきたときには思わず絶望する。
     それでも錆兎と義勇は「上手に吹けるようになりたいから教えてほしい」と私に相談してくる。その日は義勇の家に集まって三人でリコーダーを吹いていた。
    「義勇、右手の薬指の穴が塞がってないよ」
    「こう?」
    「もうちょっと上だよ」
     義勇に伝えてみるが義勇の指が小さいせいかうまく塞がらない。難しい顔をしながらリコーダーを見つめていると錆兎が横から口を挟んだ。
    「俺も頑張るから義勇も一緒にがんばろう」 
    「うん!」
     二人は相変わらず仲がいいなとほのぼのとしていると廊下から義勇の姉の蔦子さんが義勇を呼ぶ声が聞こえてきた。
    「ちょっと待ってて。俺、行ってくる」
    「うん、行ってらっしゃい」
     てちてちてちと義勇は部屋の外へと走っていった。残された錆兎と私はリコーダーの練習をしようとリコーダーを加えようとすると錆兎がぽつりと呟いた。
    「真菰、リコーダーを咥えている義勇ってなんかエロくないか?」
    「そう思うのは錆兎だけだよ」
     錆兎の残念な発言に呆れていると、錆兎はずっと義勇が置いていったリコーダーをじっと眺めていた。そして、錆兎の喉がゴクリとなる。
    「錆兎、ダメだよ……舐めちゃ」
    「……」
     錆兎は何も答えなかった。
     
     
     小学校を卒業して私達は中学校に入学する。
     相変わらず錆兎はモテた。剣道を始めた錆兎は他校の生徒にまでも人気が出る。錆兎が大会に出るたびに黄色い声援が上がったりするが、錆兎は相変わらず義勇にぞっこんだった。
     中学二年の時、錆兎にある病気が発症する。
     錆兎は怪我もしてないのにいつも左手に包帯を巻いている。どうして巻いているのかと聞くと「左手が疼くから」と言った。中学二年生特有の病気だと呆れていたが、義勇はその病気を知らずに「錆兎の腕、大丈夫?」などと本気で心配するものだから困ったものだ。
    「ねえ、いい加減に錆兎は義勇に告白しないの?」とカマをかけてみるとようやく錆兎も決心したかのように「はぁ……はぁ……そろそろ決着をつけようか。無益な戦いはここまでにしよう」と言った。おそらく錆兎は「いい加減に義勇に告白する」と言ったのだろう。
     流石に心配だった私は、錆兎が義勇を屋上に呼び出して告白しようとしている現場を覗き見する事にする。
    「義勇、義勇と初めてあった時から、俺の魂が義勇と共鳴したのを感じた。…………俺の翼になってくれ!」
    「錆兎は羽が生えてるの?」
    「見えないだ……と? このエデンより堕天した漆黒の翼が……?」
    「うん? よく分からないけど、錆兎には羽があるんだな」
     この二人は正直ダメだと思った。特に錆兎が残念すぎる。これで錆兎がモテるというのが正直、信じられないと思っている。
     中学の間何度か錆兎が義勇に告白したが義勇には一切錆兎の思いが伝わらなかったようだ。
     
     
     義勇と錆兎は同じ高校に入学した。私は二人とは別の高校に入学する事になるが、錆兎と義勇とは特に何も変わらない。
     高校入学する少し前に錆兎の病気が治る。流石にその時の話をすると錆兎は真っ赤な顔をしながら「忘れてくれ」というので数年後にこの話題でからかってやろうと決めている。
     錆兎がモテるのは毎回のことであるが、どうやら義勇にモテ期がきたようだ。錆兎と同じく身長も伸び、声も低くなった義勇は顔がいいと私の学校でも噂が広まっていた。
     そのことが気に入らないのか錆兎は義勇が誰かに呼び出されるたびに私にメッセージを送ってきた。
    「今日は隣のクラスの女の子だ。昨日は同じクラスの女の子。どうして義勇はこんなにもモテるんだ? 義勇の魅力は俺がだけ知っていればいいんだ。真菰……俺が義勇を監禁しだしたら止めてくれ……」
    「それは、犯罪だからやめてね」
     相変わらず錆兎は残念だと思う。。
     
     
     高校を卒業した錆兎と義勇は同じ大学に通う。遠方の学校に通うために家を出ることになり、二人でルームシェアを始めた。金銭面が表向けの理由だが、実際のところが錆兎が義勇と一緒にいたいからだ。義勇の外堀まで埋めてほぼ強制的に話を持っていった錆兎はやはり残念だと思う。
     一緒に住み始めた当時は舞い上がっていたようで、義勇に「おかえり」と言ってもらえて嬉しいなどという惚気のようなメッセージを毎日のように送ってきたが、数ヶ月経ったある日から錆兎の苦難が始まる。
    「もうダメだ……義勇を犯しそう」
    「うん、ダメだよ。錆兎」
    「わかってる……でもあいつは無意識で俺のことを煽ってきやがる」
    「うん、わかったけどダメだよ。錆兎」
    「どうしたら俺の股間がおさまってくれるか教えてくれ」
    「どんな苦しみも黙って耐えよう。錆兎が男なら、男に生まれたならでしょ?」
     そういうと錆兎は「確かにそうだ」と納得したが、数日後また同じようなメッセージを送ってくる。
     
     
     そんな日が続いたある日、ようやく錆兎と義勇が付き合う事になる。同性パートナーの契約を結んだと聞いたときには驚いた。それが実質結婚のようなものだ。付き合ってすぐに結婚するなんてさすがは錆兎だと思ってしまった。
     錆兎の数年間の片思いに終止符が打たれたと少しだけ安心していた私は、義勇と二人で話す機会ができた。久しぶりに会った義勇は幸せそうな顔をしていた。
    「ようやく付き合うことができたんだね」
    「うん、錆兎が真菰にいっぱい迷惑かけたって言ってたぞ」
    「あははは、錆兎は昔から残念だったからねー」
    「心配してくれてありがとう、真菰」
     幸せそうに笑う義勇に嬉しくなる。私にとって義勇も幼馴染みだ。二人がこの先幸せでいて欲しい。そう心から思っていると義勇がボソリと呟いた。
    「真菰、俺、ずっと錆兎が俺のこと好きだって知っていたよ」
    「そうなの?」
     驚いた。錆兎の様子は丸わかりではあったが、義勇には一切隠し通していたと思っていたからだ。義勇は少し抜けているところがある。
    「義勇も錆兎のことが好きだったんだよね? どうして気が付かないフリをしていたの?」
     義勇にそう尋ねると義勇は少しだけ困った素振りをみせ「真菰だったらいっか」と答えた。
    「男っていうものは届かない物こそ欲しくなるんだ。逆に簡単に手に入れちゃったらつまらなくなる」
    「そうなんだ」
    「だから、錆兎が俺から絶対に逃げていかないように今まで黙ってただけだよ」
     その言葉を聞いた瞬間本当に〝おかしい〟のはどちらだったのかが分からなくなった。
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    tukune_xxx

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    錆兎君は今日も残念だ

     私の幼馴染みの錆兎が〝おかしい〟という事に気がついたのは幼稚園の頃。
     どのクラスにも一人くらいいる〝格好いい男の子〟錆兎はそれに分類される。そう言った男の子はモテる。
     頬に傷はあるものの基本的には顔が整っており、男らしい部分とそして女の子への配慮も決して忘れない。錆兎は幼稚園児ながらも同い年の女の子の視線を釘付けにしてきた。時より先生までもが錆兎の魅力に取り憑かれ、風の噂によりと錆兎のファンクラブと呼ばれるものがあったそうな。
     そう言った意味でも錆兎は〝おかしい〟と思うが、私が思う〝おかしい〟部分はそこではない。それは――――
    「義勇、手出せよ」
    「どうしてだ?」
    「お前、いつもフラフラしてるから危ない、だから手を貸せ。繋いでやるから」
    「うん」
     家が近い子たちが集まって一緒に幼稚園へ歩いて行く。子供同士が二人ずつ手を繋ぐのだが、錆兎はいつも私のもう一人の幼馴染み・義勇と手を繋ぎたがる。二人はいつも一緒にいるので仲がいいだろうと思っていたが、義勇が他の子と手を繋ごうとすると「義勇の手は俺のだから」と言い、義勇が他の子と手を繋ぐのを阻止しようとする。それ 3808

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