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    ankounabeuktk

    @ankounabeuktk

    あんこうです。オル相を投げて行く場所

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    ankounabeuktk

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    看取り。

    希求【オル相】希求 【オル相】
    「何言ってんですか」
    開口一番相澤くんは、私の相談を不審者を見る目つきで返した。
    「う、いや、その」
    「この職業柄、畳の上で死ねないだろうことは確定してますけどね。あなたに関してはそれはもういいでしょう」
    「わ、わからないよもう私に力はないのだし、そこら辺で子供を庇った拍子に敵に刺されてあっけなく、なんてことだってあり得るだろ」
    「可能性としてゼロじゃありませんけどね。俺としちゃオールマイトさんはしわくちゃの耳も聞こえないくらいヨボヨボのじいさんになるまで長生きして、柔らかい布団の上で弟子に見守られながら大往生してもらわないと困るんですよ」
    相澤くんがお出しして来た未来は私の想定を遥かに超えた先にあった。穏やかな日差しの差し込む部屋の、大きなベッドの上で年老いた自分が眠っている。
    きっとずっと最期はひとりだと思っていた。だから、最後の最後に少しだけ欲を出してみたのに。
    「……まあ、許されるなら俺もその場にいたいと思いますが」
    「ほんとう?」
    「まさかさっきのはプロポーズとか言いませんよね 看取って欲しいなんて、介護の依頼かと思いました」
    「ど、どっちもかな、なんて……」
    「本気なんですか?」
    「本気だよ」
    困惑の表情は直ぐに思案に落ちて解を探し始めている。 少し突き出した唇の下に人差し指の腹を押し当て伏せ目がちの宙を見る眼差しがどんな答えを湛えて私を見上げるか。それがどんな色であったとしても彼の目が綺麗なことには変わりない。
    希くば、曇らない黒でありますように。
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    ankounabeuktk

    DONEお肉さんとやっさんさんのピストロパロの感想文です。
    慣例打破【オル相ピストロパロ】 人の口ん中を散々に舐め回した舌がゆっくりと引き抜かれる。その海のような色をした目は俺を見ているようでいて、きっと自分の世界に入っている。
     テイスティングとはよく言ったもんだ。この人は俺にディープなキスをしてるつもりはないんだろう。俺の口の中に残ってるワインの風味を納得がいくまで探っているだけだ。
     酔った勢いで唇を触れ合わせて伝えた方法は向上心の塊のような人のお眼鏡に適ったらしい。再び求められれば断る理由はどこにもなかった。濡れた唇を重ねて微かに残る香りを味わうだけだったのに、最初に舌を差し込んだのは向こうからだった。
     あの時は求めていた手応えが得られなかったのか難しい顔をして眉が寄せられていたから、風味がわかりにくかったのだなと思った。入って来た舌は上右頬の内側と歯の間からゆっくりと左端まで動いた後、そのまま下に移って反対へ戻って行く。その後、気を散らすまいと身動きを止めた俺の上下の歯の間から奥へ滑り込んで来る。真ん中に平たく寝転んでいる俺の舌を一周、猫の挨拶みたいにさらりと流して舌は離れた。
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    DONE【含光君の恋文】#4
    雲夢料理を白黒二人+江澄がもぐもぐします(単体でもお読みいただけます)。

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    【注意とごあいさつ】
    ・まだ知己ですが、そのうちR-18に突入
    ・アニメ/原作/cql履修済
    ・設定捏造してます、ふわっとお読みください
    江家の晩餐(含光君の恋文・番外編)江家の晩餐

     雲夢・蓮花塢の大広間にて。
     こじんまりと、静かな宴が行われていた。

     雲夢は国の中央に属する。辛・酸・甘、麻辣、清淡など、各地の味覚や製法を取り入れた独特の食文化が自慢だ。新鮮な山河の素材に薬膳効果のある山菜を加え、最大限のもてなしに厨房は大わらわ、春節のような賑わいだった。

     だがしかし。

    「……」
    「……」
    「……」

     春のすがすがしい夜風が流れる大広間では、少しも晴れやかでない男達が三人、円卓に向かって座していた。

     江宗主・江晩吟。
     この宴を用意させた本人だが、少しも客をもてなす様子がない。もてなすどころか、苦虫を嚙み潰したような表情で、無言のまま卓を睨んでいる。恐ろしくも美しかった紫蜘蛛・虞夫人を彷彿とさせるような形相だ。宗主の低気圧に慣れた家僕たちも身をすくめ、(なにか不備があったのでは)と互いの顔を見合わせている。
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