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    おいなりさん

    カスミさん……☺️

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    おいなりさん

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    酔っ払った真珠くんはきっと可愛い。

    ##真スミ

    酔いの口。


    「おれのことなんかどーでもいいんだ」

    拗ねたようにそう言う横顔を盗み見ながら、ぽちぽちとスマホの画面をタップする。
    ぷくっと膨れた頬を突いてみたい衝動を押さえつけるのには中々骨が折れるものだ。

    「ねぇ、まだ?」

    蜂蜜色がこっちを見る。
    下睫毛に乗った小さな硝子玉は今にもぽろりと溢れ落ちそうだ。

    「んー、もうちょいッス」

    晩酌にと開けた缶チューハイ。
    いつもよりも少し度数の高いものを買って来ていたせいか、真珠の膨れた頬はすっかり紅潮している。
    仕事の緊急メッセージだからと少しばかりスマホに手をやっただけなのだけれど、真珠は恨めしそうに手の中の機械を睨み付け、それから膝の上にごろんと寝転がって来た。
    画面に目を落としてから30秒も経っていないのに機嫌は急転直下、一体何をしているのか、膝の上でモゾモゾと動いている。

    「ねぇ〜、はやく。はやくーーー」

    バタバタと足を動かして、それに飽きたら今度は顔を腹の方へ向け、スンスンと匂いを嗅いでいる。
    服越しに嗅ぐだけでは満足できなかったのか、裾を捲り上げて頭を突っ込むと、深呼吸をするような音が聞こえ始めた。
    腹を撫でる真珠の吐息がくすぐったくて仕方ない。
    と同時に、その熱さにやましい気持ちがムクムクと湧き上がって来てしまった。

    「こぉら、悪戯してたら終んないッスよ、真珠」
    「らって……かすみが……」

    深呼吸、というよりは、そろそろ寝息に変わりつつある真珠の呼吸。
    背中をゆっくりと撫でてやると、すぅ、すぅ、と規則的で大人しい音になってしまった。

    「……真珠、寝ちゃったんスか?」

    服をそっと捲ってみると、溢れそうなくらい大きな蜂蜜色は瞼の裏に仕舞われていた。
    睫毛にぷつりと浮かんだ硝子玉を、キスで食べて、

    「うーん、生殺しッスねぇ……」

    なんて、満たされない欲望につい愚痴を溢してしまった。
    送信ボタンを押して、そっと溜息を吐く。
    こうなってしまっては仕方が無い。
    翌朝、きっと今自分が思っていた事と同じような事を口にする真珠のしょんぼり顔を想像して、一先ずは、今日の日にお別れを。


    end.
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