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    ゆる〜い現パロ(警察官×教師)です。
    クロロレ

    離婚して再婚するやつ(仮)7 生徒の人相や特徴をひととおり聞き出してから私用電話への着信拒否は解除しないが感謝する、と言ってローレンツは元夫との通話を終えた。
     不登校もしくは不登校気味な生徒たちの顔と名前を下の学年から一人ずつ思い出していく。おそらくクロードが説諭したのは九年生の生徒だろう。父子家庭の次男で何度か保護者と連絡を取ったが必要性を感じていないのか反応が鈍く、安定した登校への協力は期待できそうにない。
     それにしてもクロードには呆れてしまった。結婚していた頃は効率よく連絡を取るため時間割をシェアしていたが離婚した今は当然、そんなことをしていない。彼はどうやって今年度の時間割を手に入れたのだろうか。何にしてもあと十分早ければクロードからの電話を受けることはできなかった。離婚してから努力されても戸惑ってしまう。

     遅刻した生徒は安全のためロックされた生徒用玄関を通れない。教職員や来客用の玄関にあるブザーを押してそこから校舎に入る決まりになっている。繊細あるいは怠惰な生徒はこの一手間を嫌がって登校自体をやめてしまう。クロードが説諭してくれた生徒はローレンツの授業を取っている。
     スーパーの袋をがさがさ言わせながら例の生徒が教室に現れた。他の生徒たちは無邪気に友人との再会を喜び、手にもったポテトチップスを共に食べたがっている。しかし当の本人はどこか怯えていた。筒の中身を具体的に知っているのか、知ることを恐れているのか。
    「授業中の飲食は禁止だ。休み時間まで待ちなさい」
     この辺のやんちゃな子供ならば固いこと言うなよ先生にも分けてやるよ、と言って蓋を開けて食べ始めてしまう。赴任した当初は行儀の悪さに驚いたが親近感の表れと思えば愛らしい。
     だが生徒はローレンツの言葉を助け舟、と捉えて安堵の表情を浮かべた。運び屋の手口は子供たちの社会では継承されない。失敗すれば少年院行きで成功し続ければ裏稼業への道を行き、子供ではなくなってしまう。この生徒に愛や金を与え運び屋に仕立て上げようとしているのは彼が愛おしく思う者だ。単なる教師がそんな大切な存在と綱引きをせねばならない。勝ち目があろうとなかろうと、一刻も早くそんな世界から子供を遠ざけるのが貴族の───いや、まともな年長者の責務だからだ。
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    MAIKING「説明できない」
    紅花ルートで戦死した記憶があるクロードと青獅子ルートで戦死した記憶があるローレンツの話です。
    2.振り出し・下
     士官学校の朝は早い。日の出と同時に起きて身支度をし訓練をする者たちがいるからだ。金鹿の学級ではラファエル、青獅子の学級ではフェリクス、黒鷲の学級ではカスパルが皆勤賞だろうか。ローレンツも朝食前に身体を動かすようにしているがその3人のように日の出と同時には起きない。

     ローレンツは桶に汲んでおいた水で顔を洗い口を濯いだ。早く他の学生たちに紛れて外の様子を見にいかねばならない。前日の自分がきちんと用意していたのであろう制服を身につけるとローレンツは扉を開けた。私服の外套に身を包んだシルヴァンが訓練服姿のフェリクスに必死で取り繕っている所に出くわす。

    「おはよう、フェリクスくん。朝から何を揉めているのだ?」
    「煩くしてすまなかった。単にこいつに呆れていただけだ」

     そう言うと親指で赤毛の幼馴染を指差しながらフェリクスは舌打ちをした。シルヴァンは朝帰りをディミトリや先生に言わないで欲しいと頼んでいたのだろう。

    「情熱的な夜を過ごしたのかね」

     呆れたようにローレンツが言うとシルヴァンは照れ臭そうに笑った。

    「愚かすぎる。今日は初めての野営訓練だろう」

     フェリ 2066

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    11.末路・上
     クロードは先日、あんなことをしでかしておきながら怯えさせてすまない、とローレンツから逆に謝られてしまった。あれから何度か時間をとって話し合いをしてみたが互いの知る未来にかなり大きな食い違いがあることが分かりその後はおかしな雰囲気にはなっていない。

     細かな違いはあれどクロードの祖父が体調を崩し盟主代理として円卓会議に出席すること、それとマイクランが破裂の槍を盗み出すことは共通していた。

    「俺はマイクランが討ち取られたという話しか知らない」

     クロードの知る過去でもローレンツの知る過去でも級長が不在の可能性があるなら、と言うことで金鹿の学級はコナン塔へ行かなかった。

    「そちらでも箝口令が敷かれていたのか」

     教会は何かを隠している、というのが元からのクロードの主張なので教会の態度に矛盾はない。ベレトから馬の面倒を見るように命じられた二人はそれぞれ別の馬に新しい水や飼い葉を与え体を拭き尻尾の毛に櫛をかけ絡まっている塵を取り除いてやっている。いななきや馬が立てる物音が話し声を隠してくれた。今後の展開が色々と気になるところだが今回も祖父ゴドフロアの具合が悪くなるなら 2156