【膝髭】α×α 高級マンションの最上階が彼等の住まいだった。生まれてこの方、金に困ったことはない。気の許せる友人達は口を揃えて住みずらい所だと言うが、慣れてしまえばどうと言うことは無かった。
膝丸にとって重要なのは、誰の邪魔も入らず、兄の髭切とふたりで過ごせる環境に身を移すことだった。実家は打算的な両親や使用人達がいて、常に監視されているようで落ち着かない。本当は絶縁してしまいたいくらいなのだが、実行に移すと監視の目が厳しくなり、より面倒な事が起きるのだ。
ここが膝丸の妥協点なのだ。ここならば、世間一般の常識を覆すようなことが起きたとしても騒がれはしない。兄も同意の上でここにいるので特に気負わずに済んでいる。
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