散歩 時刻は午前四時。
明日は休みなので司くんと夜通しで演劇の映像を見ていたら、夜が明けようとしていた。
「もうこんな時間だったのか」
「二人で夢中になってしまったね」
いつもなら、日付が変わる頃には寝てしまう司くんも興奮が冷めないのか、目はしっかりとしている。
この状態で寝ても、すぐに起きてしまうだろう。僕の部屋はショー関連のモノで溢れているから、気分を落ち着かせるには不都合すぎる。
それならば、この部屋を出るしかない。
「司くん、散歩に行こうか」
僕の提案に司くんは、魅力的なその目を瞬かせた。
「この時間にか?」
「この時間だからだよ」
時計を見て首を傾げる司くんの手を引いて、僕は作業場から外へと出る。
五月に入ったとはいえ、朝方はまだ気温が低い。
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