箱の中で眠れるのなら薄暗い闇の中、目を覚ました。
どうやら眠っていたらしい。
そう気づいたのは、爆撃音が鳴り響き瓦礫の崩れる音がしてからだった。
空襲警報、救助隊のサイレン、そしてこの世の憎悪の全てが破裂したかのように凄まじく轟く音。
日常的にこの音を聞くようになってからどれくらい経ったのだろうか。
自分の手足があることを確認しながら、ユウはぼんやりと考えた。
我ながらこんな中でよく眠れたものだと嘲笑しつつも、寝不足の頭と身体は、多少でも休みにつけたことを密やかに喜んでいるようだった。
今回は少し遠くから音が響いてきた。西の橋のあたりが狙われたのかもしれない。あの辺には、いつもお世話になっていた市場があった。
*
私の生まれた国は、それなりに広い領地を持っていた。過去には幾度もの侵略戦争が起き、それが終結するごとに領土が広がったり縮んだりしたのだと、祖母から聞いた記憶がある。
2367