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    R18のナサバになりかけ
    逆カプでも自分でなら書けるだろうと思って挑戦して、なんか私が書く文章全部この展開じゃない!?と思ってやめたやつ
    あと多分途中からバナサになると思う

    #ナサバ

    ここにタイトルを入れます◆1

     小僧が女に振られた。
     なにをやらかしたかは知らないが、それはそれは散々な振られ方をしたらしい。シャツをワインまみれにして帰ってきた時点でおれは笑いをこらえるのが大変だった。会ったことはないが、お相手がなかなか賢い女だったのは間違いない(なにせよっぽど愚鈍でなきゃこんな男とは付き合っていられないからな。だがもっと賢ければ、そもそもこんな男と食事に行ったりはしなかっただろう)
     小僧は服を着た不機嫌と化し、家にある酒を片っ端から空けていった。インプやフォリオットども、そしておれに当たり散らす様はお見事!と言うほかなかった。振られた原因なんか聞かなくてもわかるほどの荒れよう。これで自分は悪くないんだと思ってるんだから世話がない。
     日付が変わる頃には、目ぼしい酒をあらかた開け切った。そこまでしてようやく酔いが回ってきたのかやつはソファに寝転がってうだうだと喚き始めた。

    「ワインを引っ掛けることないだろ! それも大勢の前で! あのスーツ気に入ってたのに!」

     誰に向かってでもなく、小僧が声を荒げる。スーツは脱ぎ捨てて、赤いシミのついたワイシャツ姿のままのたうち回る男。これが出世街道を邁進中のエリート様か? 場末の酒場に置き去りにしたら、世の不平にくだを巻くじじいどもとさして変わらない。見世物としては十二分に面白いので、おれは黒猫の姿でリビングの飾り棚の上からその様子をずっと観察していた。やつの視界に入らずに一方的にやつの醜態を眺められる特等席だ。

    「バーティミアス!!」

     最悪だ。いらだった声での指名が入る。一方的に見てるぶんには楽しいが巻き込まれちゃ敵わない。おれは乗り気ではなくしぶしぶと下へ降りると、小僧の寝そべるソファにまでそろりと近付いた。

    「次はもっと頭の鈍い女を捕まえろ。それか金目当ての女がいい。それならおまえにでも望みはある」

    「ぼくはそんなにダメか?」

     小僧は鼻をすすりながら言った。酔ってるせいか声のトーンが少し高い。続けて「ダメなところがあるなら教えてくれ」と、ほんのりと赤くなった目でおれを見てくる。思いのほかひどい振られ方をしたらしい。意外にも心身にこたえているようだ。

    「ダメなところ? 良いところじゃダメか? ダメなところを挙げだしたら言い終わるまでに三日はかかる」

    「良いところでもいいよ」

    「ない」

     小僧がヒステリーを起こした。ローテーブルに乗っていたコルク抜きを投げつけてきたのでおれは黒猫の姿でひょいと避けつつ、「心配するな。どれだけ性格が悪い醜男でも金さえありゃ女は捕まえられる。その点おまえは大丈夫だ」とすかさずフォローを入れた。
     小僧はひと通り怒りきると、打ち捨てられた雑巾のようにソファの上でぐったりとした。こいつは割りかし酒に強いので、ここまで飲んでようやく人並みに酔っ払えたらしい。もっと度数の高い酒を用意しておくべきだったな、とローテーブルの上に転がった大小の空き瓶を横目で眺める。

    「……ぼくにはおまえしかいないんだ」

     うつぶせの姿勢のまま小僧がぼそりと呟いた。「とんだ思い違いだな」おれはそれだけ答えて、耳をぷるぷると振った。
     ひどく無様な振られた方をして久方ぶりに挫折を味わってるもんで、こいつは調子のいいことを言ってるだけにすぎない。おまけに酒も多分に入ってる。真に受けるだけ損だ。明日になったらおれのことなんか忘れてなにもかも元通り、こんなバカバカしい話があるか? 冗談じゃない。

    「こっちに来てくれ」

     ナサニエルが寝そべったまま腕を広げた。おれは動かずにじっと見つめる。小僧が痺れを切らして、ここに来いと軽くソファを叩いた。酔っていて力加減がうまくできなかったのか強めの音が鳴る。
     はあ、やれやれ。おれはかわいらしく黒猫の首を横に振った。また癇癪を起こされても面倒だ。おれは何度目かのため息をついて、ソファに軽やかに飛び乗ると小僧の胸元にそっと収まった。

    「猫なんてきらいだ」

     酒臭い吐息。抱き寄せられながら、おれはされるがままいた。小僧はおれのつややかな毛並みに顔を埋めて、「なあ。人間の姿になってくれよ」と甘えるような声色でささやいた。これは相当酔ってるな、と思うも、もはやおれに薄寒い戯言を繰り返す酔っ払いとやり合う気力はない。こういうのをご所望だろうと無難に裸の女の姿になった(今日こいつにワインを引っ掛けた女の顔を知っていればそいつになったところだが、残念ながら知らなかったため、最近街中の広告で見かけた白人系の美女になった)
     ちょうど小僧に背を向けていたために後ろから抱き締められる形になる。小僧は「……悪くないけど、なんか違うんだよな」とぼそぼそと文句を言いながら、遠慮がちにおれの腹に手を這わす。相手がおれであるとわかってるからなのか、単に女慣れしてないせいなのか、胸ではなく真っ先に腹を触るあたり、なんともまあしょうがないやつだ。
     おれはこのタイミングで見張りのインプやフォリオットがここに入ってこないことを切に祈った。

     そうしてしばらく。小僧がおれをひっくり返そうとしたので、「よせよ」とおれは小さく抵抗した。

    「いいからじっとしてろ」

     あえなく小僧に押し切られる。仕方ない。おれは大人しく身を委ねた。向き合う形にされ、小僧の顔を間近で見るはめになった。さきほどより強く感じる酒の匂い。広いソファではあるが、大人が二人横たわるとそこそこ狭さも感じる。密着する形になり、小僧の視線がおれのたわわな胸元に釘付けになる。再び抱き寄せられる。

     「いい匂いがする」小僧がぼやく。少しだけ声のトーンが落ち着いて、さっきよりもいくぶんか酔いが覚めかけているのがわかった。それでも面倒臭い酔っ払いには違いないが。
     小僧に抱き締められながら、おれは言われたとおりにじっとしていた。ショーウィンドウに並べられたマネキンさながら。あるいは抱き枕代わりにされたテディベアかもしれない。シャツに染みついた人工的な洗剤の匂いと小僧の汗が混じった独特の匂いが間近で香る。そこに小僧の早くなっていく心拍が混じってくる。
     おれが小僧の背に腕を回すと、やつの身体はわずかにこわばった。おそるおそる顔を近付けられ、このままキスでもされるんだとおれは思った。
     が、あと一歩のところで小僧が止まった。吐息だけが唇に当たる。

    「おまえ……こうして誰かの相手をしたことがあるのか?」

     沈黙。おれは面を食らった。
     アルコールに漬けられた脳みそでもその空気の変化に気付いたのか、小僧は正気に返ったようにあわてて弁明をした。

    「ちょっと気になっただけだ、深い意味なんてない」

     小僧の顔が赤いのは酔っているせいだけじゃないだろう。自分の質問内容を好奇心だと偽りたいようだが、真意は滑稽なほどバレバレだ。その質問がただの好奇心からではないものくらい手に取るようにわかってしまう。こういうとき付き合いの長さっていうのはひたすらに厄介だ。

    「ない……と言いたいところだが、残念ながら実は少しだけ経験がある」

     悲しきかな、これは事実だ。命知らずの変態魔術師に出会ったことは数度ほどある(今目の前にいるこいつも間違いなくその一人ではあるだろう) 女の声色でわざとらしくささやくように告げると、わかりやすく小僧の顔が歪んだ。おれは思わず自分の口角が上がるのがわかった。
     いいねぇ! ようやく面白くなってきた。剥き出しになる嫉妬心。嫉妬されているという事実にこれ以上ない愉悦を覚える。当然っちゃ当然だが、今までおれ個人への独占欲で嫉妬するやつなんか他にいなかったからだ。女の代わりじゃなく、こいつは間違いなくおれを見ている。
     おれはたしかに今までも魔術師の相手をさせられてことがある。でもそういうのは大抵の場合、人には言えないような趣味のやつらばかりで、おれでなくても構わないような連中だった(これは意外に思われるかもしれないが、実のところ人間の姿で娼婦や男娼の代わりをさせられたことは一度もない。魔術師というのはいつの時代でも力を持った上流階級の人間ばかりなもんで、そういうやつらは金で本物の人間を買えるからわざわざ危険を犯してまで人間の姿をしたジンと交わろうとする真似はしないからだ。だから数少ない変態に呼び出されたときはもっと変わった姿で――おっと、この話はやめておこう)
     こんなに面白く感じることはそう滅多にあるもんじゃない。おれの中でいたずら心がむくむくと首をもたげていく。
     こいつの嫉妬心をさらに育て上げたくて、おれはシャツの隙間から覗くやつの胸板を指先でつうとなぞった。無論説明するまでもなく胸板と呼べるような肉付きはない。相も変わらず骨に薄い皮膚を引き伸ばしたような身体だ。
     自分の薄い胸板をくすぐる指先を、やつは食い入るように見つめていた。ねこじゃらしで猫をじゃらすように、おれは指を行ったり来たりさせたりする。しばらくそうしていると、ぱっと手を掴まれて頭を引き寄せられた。
     勢いのままに唇をぶつけられ、歯が当たる。酒の匂いのする荒くなった息、濡れた唇。もうちょっと正気のときじゃダメだったのか?と思うも、酒で酔ってなきゃこんな真似できるはずもない。
     おれの唇をもどかしそうに舐めるので口を開けると、おずおずと小僧の舌が入ってきた。礼儀知らずなその舌におれが軽く歯を立て、小僧の身体がびくりと跳ねた。
     本能的になのか、女を知るはずもないこの小僧は、まるで女相手にそうするように乳房に触れてきた。ぎこちない手つきで下からこねるように揉む。
     散々そうしてから小僧は「……やっぱり違うな」と頭をひねった。そして続ける。

    「いつもの姿がいい」

     「いつものって?」いやな予感がしておれがすっとぼけると、「わかってるだろ」と背中側に回された手のひらで剥き出しになっているしりを触られる。小僧の腕の中でおれは身をよじった。

    「……おまえ男の方が好きだったのか? そりゃ知らなかったな」

    「そうじゃない!」

     小僧が声を荒げてなにか言おうとしていたが上手い反論は続かなかったようで、それきり黙った。そして、ゆるくかぶりを振った。
     「……そうじゃない、けど……だめならいい」しおらしい反応。いつものように「命令だ」とでもいえばいいのに、今日は妙にひかえめだ。

    「わかったわかった。おまえの言うとおりにしてやる。その代わり変な気は起こすなよ」

    「変な気って……」

     言い淀む小僧に「あの姿がおれの姿だと思わないことだ」とおれはさらに釘を刺した。主人が望むならおれは応えてやるしかないし、今更この姿でなにをどうしたって怒る人間もいない。だが、この姿はあくまでプトレマイオスの姿であり、それ以上でもそれ以下でもない。この姿に対して劣情を催されるようになったんじゃ、プトレマイオスに会わせる顔がないという気持ちもある。
     こうなりゃ野となれ山となれ。次にプトレマイオスに会うことがあれば謝っておこう。おれは腰布をつけた馴染みの格好に姿を変えた。
     背に回された小僧の腕に力が入る。おれはなんともしょっぱい気持ちになる。
     せめてもの抵抗として「おまえは変態だ」と小僧の耳を食みながら言うと、小僧はわずかに乱れた息で「黙ってろよ」ともう一度噛みついてきた。

     しばらくそうしてちちくりあっていると、「これ取ってくれよ」と腰布を指先でいじられた。

    「裸になれって?」

     「見たい」とナサニエルが続ける。うーむ。いよいよこいつは少年趣味の可能性が出てきた。どこで道を間違えたんだか知らんが、もしかすると冗談ではなく本当に変態かもしれない。おれは小さく首を横に振る。それに対して小僧が首を横に振る。
     もう一度腰布を引っ張られ、観念した。こうなってくると一秒でも早く終わらせたい。仕方なしになにもかもを取り払う。煙のように一瞬で腰布は消えた。すっぽんぽんの完成だ。

    「色気のない脱ぎ方だなぁ」

    「知るか。おまえは変態だ」

     小僧はなにも答えずにおれの下半身をまじまじと観察する。仕返しに膝先でやつのスラックスの中心をつつくと、たしかに勃ち上がっていた。もどかしげに身体をよじる小僧。さっきよりも反応がいい。酒が入ってなければもっとわかりやすかったかもしれないし、わかりづらかったかもしれない。
     くるりと姿勢を変えられ、横向きに抱き合っていた体勢から小僧がおれにマウントを取る体勢になる。

     間近で見下ろされながら再び唇を寄せ合うと、小僧の指先が再びおれの胸元に触れた。たわわな乳房を湛えたさきほどとは違う、黒い肌の真っ平らな胸元。それをするりと小僧の指が撫で、乳首に触れられる。思わずぎょっとした。それを悟らぬよう軽く咳払いをする。
     摘まれた乳首は人間の皮膚のように少し伸びた。おれは特に止めもせずに小僧の好きにさせた。小僧はさっきより夢中になって、両の手で薄い胸元や乳首をこねるようにして揉んでいる。おまけに硬くなった下半身を押し付けられて、こっちまで段々と居た堪れない気分になってくる。おれは手が伸ばして、同じようにシャツの上から小僧の乳首を摘んだ。

    「あっ、なにすんだよ」

     「こっちの台詞だ、ちょっとしつこいぞ」そう言いながらシャツごと小僧の乳首をぎゅっと摘みあげて、軽く弾いた。「あぅっ」とうめいて小僧が身を引く。

    「それともぼうやはママのおっぱいが恋しいのか?」

     おれがにやにやとした笑みを浮かべてわざとらしく胸元を突き出す。小僧は一瞬面を食らったようだが、「それ卑怯だ」と舌打ちをしたあとに胸元に顔を埋めた。
     なにが面白いんだか、赤ん坊のように一生懸命胸元に吸いつく小僧。汗ばんだその髪の毛をすく。熱い吐息がおれの成分をくすぐった。
     いよいよ我慢が効かなくなってきたのか、小僧が身体をこすりつけてきた。
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