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    karanoito

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    karanoito

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    仁×新

    最後まで二番目の

    「俺が君の傍にいる。それじゃ駄目なのか?」
     仁の足を止めさせるには充分過ぎる一言。だけど素直に喜べないのは何故か。石畳の上で握りしめた拳の中に汗が滲んで染みていく。
     それが引き止める為の嘘とは思わない。新は打算的に動けるほど器用じゃないからきっと本心だ。仁のことを惜しんで、失うのは嫌だと彼の目ははっきりと語っている。その真摯さが逆に仁を遠ざける。
     今まで必要とされたことがなかったから、喜びより戸惑いが上回り疑ってしまう。家族すら疎んで虐げたのに今更遅すぎた。どうにかしようと足掻く時期はとっくに過ぎ去って、だから余計に寂しいんだ。
    「お前が俺の傍にって……それどう考えても違うだろ」
    「俺じゃ不足か?」
    「そうじゃなくて、お前言ってたじゃん。ずっと帰りを待ってる人がいるって。お前が帰るのはその人の傍で俺じゃない。だからだよ」
     しっくり来ない理由。帰って来てほしいと語った目が新の本心だからだ。待ち望んでいる家族、支えにしていた人。そっちがはっきり上だと判るからうれしいと頷けなかった。一番じゃなくても傍にはいられる。でも彼の一番にはなれない、永遠に。
     俺がこんなに好きなんだから同じくらい愛してほしいと思うのはやっぱり我が儘なのかな?
     虚を突かれたのだろう。気づいていなかった本音に先に行き着かれ、大きく目を見開いて新は黙ってしまった。否定も出来ず、シャツの胸元をただ握りしめて。
    「うれしいけどそれじゃ駄目。傍にいるなら一番がいい、一番デカい存在になりたい。……お子様でごめんな?」
    「誰が一番とか関係ない。傍にいたいからいるだけだ、君は大事な友人だから」
    「言っただろ、それじゃ駄目なんだって」
    「……一番になれないから?」
     迷いなく頷いた。遠藤仁でいる限りどうやったってこの結果に落ち着くんだ、逢坂新に逢っても逢わなくても。
     誰かを必要としなくなった時すでに世界からも遠ざけられている。当然だ、いらないと俺から手を離したんだから誰の手も握れやしない。最初から決まっていたこと。
     最後まで二番目でしかなかった。
     それでもお前と友人をやれたのが一番楽しかったな。最後まで付き合ってくれたのがお前でよかった。

    2015.10
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