悩みの種(出島小話) 狡噛はとても魅力的な恋人だったが、ある種根源的な悩みの種でもあった。それは友人としてでもあり、仕事仲間としてでもあり、恋人としてでもある。友人としては話を聞かないところ、仕事仲間としては独断専行しがちなところ、恋人としてはあまりにもロマンチストすぎるところがそうだろうか。とにかく経歴だけ見れば最高にすばらしい俺の恋人は、俺にとっては一番の悩みの種でもあったのだった。
捜査中出島を歩いている時、迷子を見つけた。上等な服を着た少女で、マーケットには似合わなかった。すぐにドローンに引き渡すべきだったのは分かっている。けれど捜査中だった俺たちは彼らに接触することは出来ず、少女の親を探すふりをして任務につくことになった。少女は最初のうちは静かだった。けれど段々と飽きて来たのか、次々に疑問を俺たちにぶつけ出す。
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