いつかお前は胎の中己の肌を初めて見せた時の弟子の顔は見物だった。
驚いてしまった事を失礼な事と思ったのか、悲鳴を耐えて息を飲むに止めたのは、さすが北の勇者を名乗っただけの胆力というところだ。
そういうところが気に入っていた。
己の肌は今まで人間に晒したことはなかった。
常に袖の長い衣服とマントで全身を隠してほぼ顔と首回りしか見せていなかったのは、己の肌は人間のそれとはまったく違うのだ。
日中の明るい陽の下であれば目立たないが、夜、ランタンや蝋燭の灯りの元では分かってしまう、この肌は鱗に覆われている。
細かな模様が複雑に光を反射して肌を光らせている。
他にも人間と違うところはある、例えば牙やこの舌だ。
二股に分かれた人よりも長い舌。不自然に長い犬歯が二本。
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