アズール・アーシェングロットの日記とその文学的価値について じわじわと何かが鳴く音が、締め切られた室内からでも聞こえる。白熱した勝負のせいで、学園に力を貸す奇特な妖精の力によって、涼しく保たれた室内にいるにもかかわらず汗が頬を伝う。勝負の初めに注いだままの麦茶は、ひとくちふたくち口を付けたことまでは覚えているが、それ以上のことまでは思い出すことが出来なかった。
イデアとの、特に運が絡まない勝負はこうして白熱することが多い。と言っても、運が絡むゲームはそれとはまた違った白熱の仕方をするのだから、結局イデアとするゲームなら、きっとアズールは盛り上がれてしまうのだ。彼とゲームをするのは、きっと始めから楽しかったのだと思う。勿論、入部を決めたオルトとのゲームだってきっと。
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