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    sgm

    @sgm_md
    相模。思いついたネタ書き散らかし。
    ネタバレに配慮はしてません。
    シブ:https://www.pixiv.net/users/3264629
    マシュマロ:https://marshmallow-qa.com/sgm_md

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    sgm

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    アニ祖師13話の心の目で読み取った行間埋め曦澄。
    人間らしい感情への羨望。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #曦澄

     夷陵の町ですれ違った時に、藍曦臣はその青年が知己であることに最初気が付くことができなかった。
     それほどまでに自分の記憶の中の彼と、頭から深くかぶった外套の隙間から見えた彼とは違った。だがそれも無理もないことだろう。
     蓮花塢が温氏によって焼き討ちにあい、江宗主と虞夫人、蓮花塢にいた江氏の師弟は皆殺しにあった、という話は身を隠しながら姑蘇へと向かっている藍曦臣の耳にも入っていた。江公子と、その師兄である魏無羨はいまだ行方知れずだとも。故に、魏無羨が共におらず江澄が一人で歩いていることに、藍曦臣は少しばかり驚きながらも、人気のなくなったところで声をかけた。驚き振り向いた彼の瞳に光があることに安心する。
     自分の姿を見て驚く江澄と会話し、藍曦臣は当然のように彼を姑蘇に連れて行くことにした。
     当初、江澄は魏無羨が自分を待っているはずだ、探さなければと、藍曦臣との同行を拒否した。
     一人では危険だ。
     これから自分たちは姑蘇へと戻り他の世家と共に温氏討伐のために決起するつもりだ。そうすれば江澄がどこにいるか魏無羨にも聞こえ、あちらから連絡が来ることだろう。闇雲に探すよりも確実ではないか。
     いくつかの理由をあげて、江澄が自分と共にくるように藍曦臣は仕向けた。
     結局江澄は、蓮花塢が焼き討ちにあった日に、運良く宗主の命で他家や、遠方にいた雲夢江氏の師弟十数人が藍曦臣達と行動していること。江澄が来れば、同じように雲夢江氏の師弟で生き残っている者が新たなる江宗主の元に集うだろうと言う言葉によって、首を縦に振った。
     江澄が自分と自分たちと同行に同意したことに、藍曦臣は胸中で安堵した。一人にしておくのが心配であったのは本心だ。一人でいるのと、自分と共に来るのでは彼の生存率は確実に異なる。だがそれと同時に、これから温氏に弓引く上で、五大世家の一つである雲夢江氏の生き残りであり、新たなる宗主である江晩吟を獲得出来たことは大きい。
     江楓眠が生きていれば、雲夢江氏は連合の呼びかけに応えただろう。残念ながら江楓眠と雲夢江氏の門弟の多くは失われてしまった。だが、それでも雲夢江氏の正統なる次期宗主、江澄がいれば各地に散った雲夢江氏の生き残りが集って来るだろう。また、再建を目指す江澄の元にも宗主が亡くなった門弟たちも集ってくる。それ程に雲夢江氏と言う名は価値がある。言ってしまえば、良い旗の一つになるのだ。
     今のままでは、さらに多くの仙門に血が流れ、その仙門の配下にある地域の市井のもの達が犠牲になる。温氏を倒さねば。その大義のためには、藍曦臣にとって江澄は必要だった。

     道中、江澄は温氏への怒りと怨みを隠しもしなかった。時折り思い出すのか悲しみを見せる時もあったが、姑蘇の座学で見せていた幼さや魏無羨に対する複雑な感情、危うさなどはどこにもなかった。江氏門弟の生き残りたちと顔を合わせた時は、年相応の幼さを一瞬見せたが、涙を零すこともなかった。
     数日で姑蘇に辿り着く距離まで来たある日のことだ。藍曦臣は江澄に関して一つのことに気がついた。彼は一人でいる時何かをずっと呟いている。
     気の迷いや狂いがあるのか、と耳を傾けると、誰かの名前を呟いているようだった。魏無羨の名前でもない。姉の江厭離の名前でもない。一人の名前ではなく、複数人の名前だった。
     ギラギラと怨みをこもった光を瞳にたたえ、怒りで口元を歪めながら、布に包まれた何かを大切そうに触れながら、ぶつぶつとずっと誰かの名前を唱え続けている。その名前の主が気にかかり、集ってきた江澄とも縁の深そうな雲夢江氏の門弟に尋ねると、彼は酷く悲痛な顔をして、死んだ江氏の師弟たちの名だと教えてくれた。
     江公子、いや江宗主と同じような年齢のまだ若い共に修練をしていた師弟たちの名だと。それ以外にも古くから江氏に仕え、彼らを指導していたような、江澄にとっては師兄にあたる者の名も呼んでいると。その江氏門弟は顔を歪めながらも、それでこそ江宗主だと笑った。前宗主である宗主の父も末端の門弟の名まで覚えていたものだ。死んでいった者たちの名を決して忘れぬように、彼らの仇を討たんとする気性は母である虞夫人に良く似ていると。

     藍曦臣は死んでいった者たちの名を唱え続ける江澄を遠くから眺めた。
     彼と自分は似た境遇のはずだ。故郷は焼き討ちされた。ただ、温氏には占拠されておらず、雲深不知処に居た子弟も皆殺しにはされていない。
     母はとうに亡く、父は死んだ。叔父と弟は生き残っている。彼も、姉とおそらくは魏無羨も生きているはずだ。
     それなのに何故こうも違うのか。温氏に対して江澄のように怨みはない。怒りもなくはないがあそこまで強くない。父の仇を討つために、焼き討ちの時に殺された藍氏門弟の仇を討つために。そのような思いはすでに薄い。雲深不知処から落ち延びてだいぶ経つからだろうか。雲深不知処は焼けても無事であったと知っているからだろうか。
     逃げた直後もあれほどの怒りや怨みを抱いていただろうか。おそらく抱いてなどいなかっただろう。そもそも藍氏の家規で憤怒は禁止されている。それとも孟瑤という一生涯の友を得たことで心が慰められているのか。
     己が今動いているのはなんのためか。
     焼き討ちされた藍氏を立て直す目的ももちろんある。
     温氏がこのまま台頭すればさらに多くの血が流れる。関係のない市井のものも巻き込まれるだろう。戦自体は仙師たちだけの物だが、屍が多く上がることで鬼が増える。田や畑が踏まれ焼かれる。町の機能が停滞し、商人の商売がままならなくなる。
     親を無くす必要のなかった子が増え、子を無くす必要がなかった親が増える。家がなくなり、困窮から子を売る親も増える。盗賊馬賊山賊になる男が増え、娼館に売られる女が増える。
     仙門の者としてこれ以上の血を流させるわけにも、民を不幸にするわけにはいかない。その大義のためだ。藍氏としてそれは正しい。仙師としても正しい。叔父である藍啓仁も、弟である藍忘機も同じ気持ちだろう。
     それでも、とこの世に居ない者の名を呼ぶために小さく動き続ける江澄の唇を眺めた。
     それでも彼の方が人間らしいと思うのは何故だろうか。
     「怒」も「怨」も「悲」も「心」が必要だ。
     彼には心があり、自分には心がないのだろうか。
     藍曦臣は何故だか急に江澄のことが羨ましくなった。
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    sgm

    DONE去年の交流会でP4P予定してるよーなんて言ってて全然終わってなかったなれそめ曦澄。
    Pixivにも上げてる前半部分です。
    後半は此方:https://poipiku.com/1863633/6085288.html
    読みにくければシブでもどうぞ。
    https://www.pixiv.net/novel/series/7892519
    追憶相相 前編

    「何をぼんやりしていたんだ!」
     じくじくと痛む左腕を抑えながら藍曦臣はまるで他人事かのように自分の胸倉を掴む男の顔を見つめた。
     眉間に深く皺を刻み、元来杏仁型をしているはずの瞳が鋭く尖り藍曦臣をきつく睨みつけてくる。毛を逆立てて怒る様がまるで猫のようだと思ってしまった。
     怒気を隠しもせずあからさまに自分を睨みつけてくる人間は今までにいただろうかと頭の片隅で考える。あの日、あの時、あの場所で、自らの手で命を奪った金光瑶でさえこんなにも怒りをぶつけてくることはなかった。
     胸倉を掴んでいる右手の人差し指にはめられた紫色の指輪が持ち主の怒気に呼応するかのようにパチパチと小さな閃光を走らせる。美しい光に思わず目を奪われていると、舌打ちの音とともに胸倉を乱暴に解放された。勢いに従い二歩ほど下がり、よろよろとそのまま後ろにあった牀榻に腰掛ける。今にも崩れそうな古びた牀榻はギシリと大きな悲鳴を上げた。
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    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
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    PROGRESS恋綴3-4(旧続々長編曦澄)
    あなたに会いたかった
     翌日、清談会は楽合わせからはじまった。
     姑蘇藍氏の古琴の音は、軽やかに秋の空を舞う。
     雲夢江氏の太鼓の音は、色づく葉を細かく揺らす。
     世家それぞれの楽は、それぞれの色合いで清談会のはじまりを祝う。
     江澄はふと、ここしばらく裂氷の音を聞いていないことに気がついた。藍曦臣と会っていないのだから当然である。
     藍家宗主の座を見ると、藍曦臣は澄ました顔で座っている。一緒にいるときとは違う。宗主の顔だ。
    (少しは、話す時間があるだろうか)
     あいさつだけでなく、近況を語り合うような時間がほしい。
     夜にはささやかな宴が催される。
     酒はなく、菜だけの食事だが、さすがに黙食ではない。
     そこでなら、と江澄は期待した。藍家宗主も、江家宗主にはある程度の時間を割くだろう。
     ところが、である。
     藍曦臣は初めに江澄の元へやってきたものの、あいさつもそこそこに金凌のほうへ行ってしまった。そうでもしないと、まだ若い金宗主の周囲に、あらゆる意図を持つ世家の宗主たちがたかってくるのは江澄も承知している。
     江澄とて、藍曦臣と少し話したら、金凌の傍らに張り付いていようと思っていたのだ。
    「おや、沢蕪君 1622