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    bluehoge

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    #极刺
    extremeSting

    Best Friends (with Benefits) Forever (仮)「ブラザー、なんで男漁ってるの」

     日が落ちても変わらず湿気のせいでジメジメして蒸し暑い季節のはずが、シェアしている部屋のど真ん中に陣取っている男の顔を見た瞬間に、そこだけ真冬のウルサスになってしまった。
     怒っているな、と、実験室で一日中フル回転してボイコット気味の脳みそでぼんやり考えながら、珍しく思いっきり顔をしかめているエリジウムをみながら、ソーンズは投げられた質問を吟味した。
     IF、ではなく、WHYを聞かれている。つまりなんらかの噂を聞いて確かめに来たわけじゃない。彼のことだから、仮にソーンズにまつわる噂を聞いたとしても、無闇に信じるような男ではない。となれば、すでに確信へ至る証拠も押さえている。それも言い逃れが効かないようなもの。面倒だ。
     ふと、視界の端に机に忘れた個人通信端末が映った。短く振動し、画面が光るそれを見た瞬間に自分の過ちを理解した。普段仕事用のものさえあれば事足りているから、そちらは持ち歩かない。その習慣が災いして通知が見られたか。
    「見たのか」
    「申し訳ないと思ったけど、普段全然使わないのに、今日に限ってやたら通知が来るから、緊急なものだったら実験室まで持っていこうとしてた」
    「まあ、別に構わないが……」
     机に上に置いた自分の責任だ。というか、そんなに来ていたのか。面倒だ。やはり慣れないサービスを利用するのはリスクが高かった。
     それを手に取って電源をオフにすれば、「それに関しては謝るよ」とエリジウムが大して申し訳無さが含まれていない硬い声で続けた。
    「でも教えて、なんでそんなことをしてるの?」
    「目的は一つしかないだろう」
    「つまり、単なる好奇心やなんらかの勘違いじゃなく、そういう目的だとちゃんと認識した上で行動している、ということでいい?」
    「好奇心か、それもゼロではないと思うが」
    「はいかいいえで結構だよ」
    「お前もそういう尋問口調ができるんだな」
     珍しいものを見た、と感心するソーンズの言葉にエリジウムは一度瞬き、次の瞬間に白い頬から血の気が一気に引いた。
    「いや、ごめん、ごめんなさい。そういう……そういうつもりじゃない、けど……」
    「何がだ」
     首を傾げていても、エリジウムはすっかり落ち込んでしまい、顔を抑えて俯いてばかりだった。過去になにか不愉快なエピソードでもあっただろうか。気の毒だ。リーベリだから無闇に裁判所に文句つけられることはないと思い込んでいたが、こうして国を出た以上思うところがあったかもしれない。かわいそうなくらい項垂れる友人を見て、ソーンズは、次はやめておこう、とほんの少し申し訳なく思った。
     慰めるのは得意ではない。それに、エリジウムのことだから放っておいたほうが早く立ち直るのだろう。
    「用事がそれだけなら風呂にいく」
    「えっ、あ、待って、待って!僕が悪かった、悪かったけど、……ソーンズ、男が好きだったの?」
    「それがどうした」
     エリジウムは一瞬難しい顔をして、ため息をついた。
    「別にどうもしないよ。ただ、そういうのに慣れていないでしょ。ちょっと軽率だと思わない?そりゃ君が強いから余計なお世話かもしれないけど」
     なんで急にこんなの、とどこか不満げにしているルームメイトを見て、ソーンズは少し回答に困った。プライベートまで制限されるわけではないが、ロドスの一員として身元も分からない相手に身を任せるのは不謹慎、という主張も真っ当だ。
     しかし、逃げても無駄だと思う一方、ここで事実通りに話すわけにもいかない。

     何を隠そう、ソーンズはエリジウムのことが好きだ。
     いつからと聞かれれば正確に答えられないが、『喋らなければ完璧にイケメンなのに、男として見ることができない』や『最初はちょっと憧れてたけど、なんか、キャラを知ったら、そういう目で見れなくなるよね』と評されるのを聞いた際に、うるさいのは間違いないが喋っていても十分に魅力的だろ?と疑問に思ってしまい、相手を「そういう目」で見れる自分に初めて気づいた。
     見目麗しいのはもちろん、苦悩を表に出さずに陽気に振る舞い、人を傷つけまいと気を遣う優しい性根が好ましい。『よくそうやって人の顔色を伺って過ごせるな、俺には到底真似できない』といえば、呆れた顔で『君ね……はあ、煽りにならない褒め方を特訓するから、次の休みを空けといて』と返しつつも笑ってくれるエリジウムのことを尊敬に値する男だと思う。煽ったつもりは特にないが。
     ソーンズって意外と結構人に夢を見るよね、とドクターに言われたのは不可解だったが。
     恋という分野は不得手だ。けれど落ちてしまったものは仕方がない。実らないとわかっていても。
     百年に一人のイケメン、などとふざけて履歴書に書こうとする割に、エリジウムの浮いた話は意外と聞かない。噂話に元々さほど興味がないから入って来ないだけという可能性もあるが、前述のドクターとの会話で『彼女?確かに君と同室になる前に何人かと付き合っていたっぽいけど、大体すぐ別れたし、今は、うん、ないね』と力強く断言されたから、間違いないだろう。思えばそれもそうだ。エリジウムは誰ともうまくやっていけるが、決定的なところで一線を引く冷ややかさも持っている。その理由を最初は病だと思っていたが、どうやら彼にすでに心を決めている相手がいるのであった。
     命の恩人だからそういうのじゃないよ、と本人が言うものの、一度だけ遠くから見かけた、彼女と話すエリジウムの顔をソーンズは知っている。少し照れたよう、優しくて柔らかい笑みだった。運命の人というものが存在するとしたら、まさしく彼女のことを指しているのだろう。ドクターが神妙な面持ちで『一見ちょっと怖いというか冷たい、誤解されやすい子ばかりだったよ』と言ったのを思い出して、合点が行った。
     結ばれていない理由までは知らないが、エリジウムは彼が所属している小隊の隊長に恋をしている。
     ならば、勝ち目はない。
     何回演算を繰り返しても、結果が明るい数字にならない。
     幸いソーンズは勝ち目のない運命に慣れている。ドンと来いである。最初は絶望的な状況に胸が酷く痛んで、しばらくショックで動けずにいて立ち尽くしてしまったとしても、できない理由は探すよりも、一日が経てば、できることを考えるほうに思考が行く。
     真っ当な恋ができなくとも、何人かと付き合っていたということは、付け入る隙がないとまではいかない。男と付き合った、と聞かないから例の恋人たちと同じところまで持っていくのは難しいだろう。しかしエリジウムも健全な男だ、欲を満たしたい時もきっとある。つまり手を加えて状況を整えれば、一度くらいなら、例えば性行為に持ち込むのも完全に無理ではない。かもしれない。たぶん。もしかしたら。現時点成功率が0.5%を下回るが。
     薬でも盛れば……はさすがに論外だ。何も知らないずに地図作成のノウハウを語っている想い人の横顔を見ながら、俺が最低限な良識を持ち合わせていることに感謝するんだぞ、と思った。
     なかなか打開策が出てこないが、こんなものだ。
     そしてここまでが背景である。
     目に見えない脅威と部屋を共有しているエリジウムだが、それに気付く気配もなく相変わらずのうのうと日々を過ごし、面白い見聞があれば真っ先にソーンズに共有したがる。正確に言えば誰であっても彼はそうするだろうが、一緒に住んでいる分、一番聞かされているのはおそらくソーンズだ。
     数日前もいつもの調子で、子供たちに昔話を聞かせたよ、という話がエリジウムから出た。なにも、真実の愛の話が一番人気だったらしい。
     こんな世の中だから、自分だけの相手であってほしいのは分かるけど。そういう彼は、しかしすぐに照れを隠すように、軽い調子で、まあ、分かるから、逆に初めての人の相手は気軽にできないよね、とつけ加えた。
     ……なるほど?
     と、ソーンズは思った。
     女性を抱く経験ならまだしも、抱かれる経験はない。そういう経験が必要になると思ったこともなかった。仮にエリジウムに抱いてもらう場合、「初めて」に該当する。逆に転ぶ可能性もなくはないが、蓋を開けてみるとダメだった、よりは両方用意できたほうがいいだろう。条件としては必要不十分にも程があるが、打つ手なしよりは一歩前進になる。
     しかし努力が得意なソーンズといえども、こればかりは一人ではどうにもならない。下準備はともかく、相手がいないと、正式な経験にはならない。となればまずは相手を探すところからだ。数日かけていくつ案を練り、例のサービスにたどり着き、四苦八苦しながら外見の説明や希望条件を書いた。相手の条件は、できるだけ本番と揃えたほうがいいだろうということで、リーベリで、180センチ以上で、細身で、白い髪で……さすがに百年に一人のイケメンは求めなかった。そこから続くのが自分のプロファイルだが、種族や年齢層などの客観データならともかく、自分の容姿を気にしたこともなく、まさに難関だった。
     だからこそ、投稿が完了した瞬間に圧倒的な疲労感に飲み込まれて寝てしまい、起きた頃には一仕事を終えた後の、さっぱりとした気分で実験室に直行した。
     どうやらその間に、外勤だったエリジウムが戻ってきた。そして入ってきた通知が彼に見られてしまい、今に至ったわけだ。
     さて、エリジウムの質問にどう答えたものか。
     端的に話すなら「お前が処女は嫌だと言うからさくっと抱かれて来ようと思う」になるが、中々インパクトのある文面だ。
     柄にもなく焦りで黙っていると、エリジウムは不審そうに目を細めた。そして、何を思ったか手を伸ばしソーンズを引き寄せた。そのまま薄い唇を開き、静かにつぶやいた。
    「こんなことになると思わなかったけど……誰でもいいなら、僕でもいいよね」
     は?
     なんだこれは。どういうことだ。展開が急すぎないか。
     鈍くなった脳みそで状況を飲み込もうとしても、至近距離にある銀の虹彩にに飲み込まれそうになって混乱が増していく。近い。いくらなんでも近すぎる。手を回してくるな。抱きしめようとするな。「ね、いいでしょ」とか囁いて来るな。顔面をフル活用するなそろそろ殴るか襲うぞ。
     死にきっていない理性が「正気か?準備なしに挑むのは自殺行為だ」と警鐘を鳴らす。疲れ果てた一日の終りに片思いの相手に迫られている状況でも、理性に耳を傾ける自分を褒めたい。
    「いきなり盛るな。そもそもお前、男を抱けるのか」
    「君なら行けると思う。というか、顔も知らない人に相手をしてもらおうとするソーンズにそんなことを言われる筋合いはないよ。そんなことより君、男に抱かれたい方だったの。僕、知らなかったけど。……まあ、つまりね、もうすぐ移動都市につくのに、待ちきれずにこんなのを使うくらい欲しがっているようだし、僕は良い候補だと思うよ」
     しまった。つい気になっているところを聞いた。完全に失言だった。ここで否定するのは不自然か?違う、抱きたいほうだ、と自分がまだ熟練度のある方に誘導していいものなのか?どっちだ。くそ、分からない。
     ——いや、しかし、待ってくれ。これはもしかしていい機会ではないだろうか。「顔見知りに相手をしてもらうほうがまずいのでは」とか、「お前に性的指向を報告する義務はないだろう」とか。反論する理性の声を無視して、ソーンズは素早く状況を整理した。
     エリジウムは、ソーンズが性欲処理のために抱いてくれる男を探していると思っているようだ。そしてどんな心境の変化か分からないが、向こうから性行為の誘いまでしてくれている。しかもソーンズが初めてということもバレていない気がする。言葉の端々から放蕩さへの不満が見て取れるし、好きな相手にそう思われているのは案外堪えるが、例の条件を思い出せばむしろ好都合だ。ここで、この設定で誘いに乗れば、最短で効率よく目的が達成できる。
     なにより、何よりだ。
     君ならいける。
     君ならうける、だと。
     まるでソーンズのことを特別視しているような言い方に頭がどうにかなりそうだ。抗えがたい。恋心、なんと恐ろしい。
     冷静になれ、恐らく単に外見が好みの範疇内ということだろう。リーベリの嗜み的な。いや、エリジウムはそんなやつではない。
     であればきっとあれだ。偶々彼も捌き口を探していて、そこに手頃で、信頼関係もある男がいたら、誘ってみるのが合理的だ。合理的か?
     まとまらない思考の中で、ソーンズはなんとか平静装って口を開く。
    「別にいいが、後悔しても知らないぞ」
     エリジウムは一瞬複雑そうな顔をしたが、すぐにいつもと変わらない様子でうなずいて、またソーンズの腰に手を回して耳に言葉を吹き込んだ。
    「じゃあ約束だね」
     よし。
     明日にもなれば何が「よし。」だ気が触れたのかと思うかもしれないが、今はとりあえず約束を取り付けられたことに対する恋心の歓声を全力で最優先した。冗談じゃない。いきなり好きで好きで仕方がないやつにぎゅっと抱きしめられ、風呂にまだ行っていない相手のフレグランスが混ざった濃い匂いに包まれているぞ、うっかり勃っていないだけで鉄の意志だ。よく遊んでいる設定のようだし勃ってしまっても問題ないのでは?いや、今はおそらくかなり舞い上がってる。正しい判断できている保証がない。冒険はやめておこう。
    「これであのサービスもいらないよね」
    「?ああ、そうだな」
     あったなそんなもの。
     すっかり頭から消えていった。
    「ならちゃんと消しといてよ、情報がどこにどう流れるか分かったものじゃないし」
     今見ているから、と拗ねたような声で言われ、ソーンズは仕方がないとまた端末を取り出して電源を入れた。
    「そう心配しなくとも、俺も無闇に外でやらかしてロドスの立場を悪くするつもりはない。……おい、少しは退け、邪魔だ」
     エリジウムはロドスのことを帰る場所と言ったことがある。おそらく、治療を得るための機構だけでなく、運命の人と一緒にいられる大切な居場所だ。それをソーンズの軽率な行動で損なわれないよう確認しておきたいだろう。
     失いたくない気持ち責めるつもりはないが、友人からあまりに疑われるとつらいものがある。上げて落とすのはやめろ。いや、別に彼にあげているつもりは一切ないだろうけど。
     起動を待っている間に、これもまた柄にもなく弁解すると、未だに近いところから熱心に覗き込んで来るエリジウムは「え、あっ。そう、そうだね、みんなに迷惑をかけるから」と言った。
    「これでいいか。満足したら風呂でも行ってきたらどうだ」
    「え?あ、うわっ。そうだよね、今すごい匂うよね……ごめんね、気づかずに……百年に一人のイケメンの名が廃る……」
     正直にいうと、嫌ではないところが少し興奮する。「自称だから大丈夫だろ」といつもの調子でいえば、「ここはどんな時でもかっこいいよ!って慰めるところだよ、ブラザーそんなんだから付き合いにくいって言われるんだ。本当に、僕のことをもっと大事にしたほうがいいよ」とエリジウムは返しながらやっと風呂へ向かった。
     その背中をぼんやりと眺め、緊張しているつもりはなかったものの、変わらぬ空気に思わずほっとした。
     何はともあれ思わぬ幸運に条件がほぼ揃った。後は、いかにバレずに設定に忠実に振る舞えるか次第だ。あわよくば一回っきりではなく、より定常的なものに持ち込みたいところだが、いずれにせよ最初が肝心だ。
     触れられたところから徐々に消えていくぬくもりを掴もうと自分の腕を抱えながら、ソーンズは考えた。

    -

    「ドクター、今いいか」
    「空いてるぞ」
    「先日話した薬品と、医療部から予算変更のリクエストだ」
     執務室に入ると、ドクターはファイルの束から頭を上げて、あれ、と不思議そうに首を傾げた。
    「医療部?ソーンズからかい?」
     ソファの方に座っている長身のフェリーンは優美な所作でティーカップを置き、薄い笑み浮かべながらソーンズのほうを見た。
    「ついでに持っていってくれないかと言われた」
    「なるほど、今日も人助けに励んでいると」
    「そんな大層なことはしていない」
     目の前にいたから。できることを請われたから。ただそれだけのことだ。特に得があるわけでもないのに人に優しくしようとするエリジウムのやることなら、賛称の言葉に値するかもしれないが、ソーンズにそんな高尚なつもりはない。
     実際に来てみると、医療オペレーターが気まずそうにしていた理由はすぐに分かった。
     シルバーアッシュがいるとなんとなく執務室に近寄るのが憚れる、というオペレーターも多い。ソーンズには理解しがたい話だが。たしかに喋り方は時折仰々しく、謎のタイミングでポエムを引用することがあるが、ロドスで会う人の中でも効率的で話の分かる方だ。接してみると案外人間くさいところもある。
    「取り扱いについてはこっちを目を通してくれれば大丈夫だ」
     用事を済まして出ようとすると、ドクターのほうから、ソーンズ、と呼び止められた。
    「どうかしたか」
    「それはこっちが聞きたいことだな。ソーンズ、ここ数日何か悩んでいないかい?」
     ソーンズは少し思案してから、口を開く。
    「悩むという表現が正しいか分からないが、困ったことならある」
    「聞くぞ」
    「いや、言ったところでドクターには土台無理な内容だ」
    「おっと、手厳しい」
     特に気にする様子もなくドクターは鷹揚に笑った。
    「一つ忠告しておくと、そういうふうに煽られると逆に挑戦したくなるのが人の性だ。この部屋ほど策に満ちた場所は早々ないぞ?さあ、観念……安心して相談したまえ!」
     テンションが高い。今日のキャラは。
     暗に相談先としてカウントされているフェリーンは僅かに眉をあげ、ちらりと視線をドクターの方へ投げたが、受けて立とう、というようにまた紅茶に口をつけた。
    「煽ったつもりはない」
     引き分けのチェスボードを見下ろして、ソーンズは少し考えた。
     なにやら二人の遊びの贄に選ばれた感を否めないが、誤魔化すよりかは素直に言ったほうが早く終わるだろう。
    「二日以内に男狂いの淫乱になる方法を探している」
     発言が宙に浮かぶ。
     そこを中心にして、じわじわと空気が凍りついた。
     カチリ、とドクターの手から紅茶用の小さなスプーンが落ち、プレートを叩いた。
     固まる上司にソーンズは淡々と続ける。
    「勿論、受け身のほうだ。実際になるのが望ましいが、最低限、人にそうであると信じ込ませられればそれでいい。相手の経験が如何程かは不明だが、舐めてかかるのは避けたい。助言があれば感謝する。そうだ、前提として、俺は男性と交際したことがない。それを踏まえて、近々に男狂いの──」
    「よ、よく分かった!二回も言わなくていい!……盟友頼んだ!」
     石化がやっと解けたようにドクターは大声をあげて立ち上がり、そしてボールをシルバーアッシュにぶん投げた。
    「ほお」
     高貴なフェリーンはさほど動揺せずに、よく磨いた月のような瞳でソーンズを眺めた。
    「どうやら私の勝ちのようだな」
    「……本当に策があるのか?」
    「男色の手解き程度、私にできないわけがあるまい」
    「阿呆!話がありとあらゆる方向から拗れるだろ絶対にやめろ!」
     チョップをかました。
     ゴスッ、とコミカルな音を立てながら。
     全く、もっと分かりやすくパニックできないものなのか君、とドクターはため息をつき、またソーンズのほうを見た。
    「いやすまん、引き分けが続いてしまって少しおかしくなったかもしれない」
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