かぞくのとびら(The way to say I'm home.)6.
「ただいま!」
「ただいま」
「はい、おかえり〜」
「おじゃましまーす」
「どーぞ」
食材をキッチンで広げると、悠仁が「お相伴に預かるかわりにせめてやらせて」と、手伝いを買って出てくれた。
生地を混ぜて、ネギとキャベツとタコを細かく切って、それから紅生姜は多め。相変わらず手際がいい。その間に僕はダイニングテーブルの真ん中にたこ焼き用のプレートを置いて、取り皿を並べる。冷蔵庫からソースとマヨネーズを出して、あっという間に準備が整った。あ、青海苔と鰹節、忘れるとこだった。
「俺のやり方でいい?」
「お願いしまーす」
高温で熱したプレートに、悠仁が油を塗り生地を流し込む。じゅう、と心地のいい音がした。
「あたしタコ入れたい!タコ!」
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