でゅえ Dom/Subユニバースその一言をデュースが放った瞬間、
爪先から脳天まで電流が駆け巡って、刹那のうちに隅々まで暴かれて、オレの体は歓喜に震えた。指先に甘い痺れをびりびりと残したまま、デュースの言う通りにゆっくり跪く、つもりだった。しかし足に力が入らず、つんのめるように、糸が切れるように膝をついた。
「大丈夫か、」
心配そうな顔をするな。お前は、オレを服従させるために、オレを支配するためだけに命令すればいい。そう言ってやろうと思ったけれど、惚けた顔で小さく頷くことしか出来なかった。
「溶けそうな顔してる」
よっぽどcommandが欲しかったのか、とデュースは微笑む。違う。久しぶりのcommandだからじゃなくて、違うのに、うまく言葉がまとまらない。それくらいオレの脳はふやけきってしまったみたいだった。
「お、まえ、だか、ら」
ちいさい子供みたいな拙い発音でしか言葉を発せない。全部、お前のせいだからな、バカデュース!
「......僕、だから?」
「そ、でゅーす、だから」
お前にだから跪きたいんだよって、どうしたら伝わる?どうしたらオレの気持ちは正しくデュースに届く?わからないままデュースの少しカサついた手のひらに頬を擦り寄せた。まるで猫みたいだ。お前のために鳴いてやろうか。
「それ、もう一回、言ってくれ」
「...?でゅーす、だから、だよ」
「本当に?僕で、いいのか?」
だから、いいって言ってんじゃん。なんでそんなこともわかんないかな、デュースくんは。そういう気持ちを込めてジロリと見上げる。デュースはDomのくせにオレの視線に怯んだように瞬きをパチパチとして、そしてじわりじわり赤くなっていった。
「わ、るい、そんなの、初めてで」
デュースの指先がオレの目元をしっとりとなぞる。くすぐったくてちょっと目を瞑った。
「嬉しくて泣きそうだ」
あんまりにも大げさにコイツが嬉しがったりするから、なんだかオレまで恥ずかしくなってきた。
「...はずかしーヤツ...」
「いいだろ、別に」
クスクス笑ったデュースはオレのスートに愛おしそうに触れた後、両手をぱっと広げた。
「エース、come」
オレは切れた糸を引きずるようにゆったりと足を踏み出した。狙うはデュースのお膝元。