エクステエクステ
「追憶の青薔薇に影は満ちる」
そう唱えた後、窓に「ハァ」と息を吹きかけると薄白い円の様なものが浮かび上がる。
「これも魔法みたいだなぁ」
カフェに一人佇むネスは今の現象もきっと化学で証明出来てしまうのだろうと落胆してしまう。魔法と化学は紙一重みたいな部分があると思うのに。そう、家族の理解があればなと思考の片隅に浮かんだがすぐに消え去る。
「遅いな。まだ自主練してるのかな?」
寮生活での自由時間は外出も許可されている。今日は二人で近場のカフェでココアを飲もうと約束していた。それが練習時間が終わった時にカイザーが少し自主練がしたいと申し出があり、ネスはそれを承諾した。あまり遅くならない様にと念を押して。
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