5秒後、桜木はブワッと泣いた 古いアパートに、ギシギシと軋む床、シミの付いた薄い壁。
──俺は今、桜木の家に居る。
何故か。桜木の親友である、水戸のことで話があるからだ。
しょうがないと思う。
だって、バカな行動を起こした俺を思い切りぶん殴って止めてくれて、その上庇ってバスケを続けさせてくれたんだ。もちろん水戸的には桜木の邪魔するやつをはっ倒しただけなんだろうけど、俺にとってはどん底の人生を一変させた大恩人なわけで。そして俺は恩義を感じるとどっぷりと好きになってしまうタチなわけで。
『あー、カッケーな』とぼんやりと思っていた俺の心は、『へえ、髪、似合ってるじゃん』などという水戸の微笑みでコロコロコロ〜っと落ちた。あっけないもんだ。
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