ふたりのピクニック(ベリソロ)ふたりのピクニック(ベリソロ)
ソロモンのスケジュールは過密だ。とはいえあらかじめ決まっているような予定はさほどない。だが、指輪保持者であり軍団の長であるソロモンには、探せばいくらでも仕事がわいてくる。
ジリ、と微かに火の燃える音がする。揺らめいた明かりに目をやると、死者のロウソクがその背を短くさせていた。寝る前までの僅かな時間に少しだけ細工物をやってしまおうと思っていたが、案外時間が経ってしまったようだ。手元の細工物はもう少しで完成する。キリがいいしやってしまおうかと考えていたソロモンの耳に、足音が聞こえてきた。騒々しいわけではないが、自分の存在を主張するような足音はソロモンの部屋の前で止まり、間を空けずに扉が開く。
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