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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-06-18/今日のデイリー空閑汐♂は空閑の独白回みたいになってしまった。ちょっと不穏なのは多分手癖……手癖で不穏にするな。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #BL

    空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:18 落とさないようしっかりと抱き上げた男の肢体はずっしりと重い。平均から見れば長身であるとはいえ、自身よりも小柄で細く――時折どこに内臓が入っているのかと疑うこともあるような薄い汐見の身体ではあるが、その服の下にしなやかな筋肉を纏っている事を空閑は知っている。
     帰省土産の交換と称して集まっていた友人たちもそれぞれの部屋へと戻っていく時間ような時間になっても、空閑にぴったりとくっ付いて寝息を立てる汐見が目を覚ます様子はなく、揺すっても叩いてもすやすやと深い眠りに落ちたままで。眠りに落ちる前に呟くように告げられた「お前が居ないと、眠れもしない」という言葉だけが、空閑の耳でずっと反響し続けていた。
     空閑に抱きかかえられながらも器用に眠り続ける汐見の身体をようやくベッドに横たえさせながら、空閑は汐見のあどけない寝顔を見つめる。普段は仏頂面を晒し、神経質そうな印象を周囲へと与える細面が表情筋も緩まっているのか眠っている時には少年のようにも見えて。
     ベッドの端に腰を下ろし、その頰をゆっくりと撫でる。空閑の指先が頬を擽る感触に反応したように汐見は少しだけ眉を寄せ、明瞭ではない言葉をもごもごと口にしながらも覚醒には至らない。
    「せめて着替えてから寝たほうが良いと思うんだけどなぁ……」
     眠れなかったという汐見を起こすのも忍びなくて、空閑は困ったように小さく笑う。汐見が纏うのはトレーナーにジーンズというラフなものではあるが、寝るのには適さないだろう。せめて前開きのシャツであれば脱がせてやれたのに、なんて考えてからだめだな。と空閑は一人でその考えを否定する。
     脱がせれば多分、溜まりに溜まった劣情をぶつけてしまうから。空閑の脳裏でイマジナリー篠原が叫んでいた。合意は大事だと。
     脳内に突如現れた友人を追い出しながら、空閑は汐見へと懺悔の言葉を口にする。祈るように、赦しを求めるように。
    「ごめんね、アマネ――アマネが俺なしで眠れない事を、嬉しく思っちゃったんだ」
     彼は一人でどこまでも行ける人だった。そう、だったのだ。周囲を顧みず、一人で進む彼の翼を奪ったのは空閑だった。そして共に残された足を使い、ふたりでどこまでも駆けていこうと汐見の手を引いたのも。
     だからこそ空閑は眠る汐見にだけ懺悔する。このひどく執着じみた恋が、彼を絡め落とした事を。
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