『THIRST』&『HUNGER』リプレイキャラは同じだけど別時空と考えてくれ。
まあ、エンディングはほぼ同じになっちまったんだけどな!
……ええ、あらかじめお断りしておきます。2回やって2回ともドボンしました。
人間の一人称が「ぼく」吸血鬼は「わたし」ですが、とりたてて性別は特定していないです。あまり細部の設定を詰めずなんとかなれーっの精神で進めました。
『THIRST』篇
怖いの、と、恋人に尋ねられる。もちろんだ。怖いに決まっている。ぼくがこれから体験することはぼくのこれまでの生き方にはまったく関わりなかったことだから。
そう、と彼女はぼくの手を手に取った。でも不安にするようなことはなにもないの。すべてわたしに任せて。いたいけな顔立ちにそぐわぬあでやかな笑みを浮かべながら、ぼくの耳元にささやく。ぼくはおとなしく葦のようにうなずくことしかできなかった。
ぼくは怖い。彼女の笑みが。彼女の優しさが。肉食獣の慈愛が。
ぼくは惹かれる。彼女の笑みに。優しさに。肉食獣のひとときの慈愛に。
(トランプは4枚引くことにしました。まずは4枚とも裏返しに引いて、1枚ずつ表に返しながら記述していく)
♠9
彼女はぼくの右足をもちあげた。香りも飾りもなんにも付けていない素足。彼女はぼくの爪先を唇でなぞる。焦らすように、上目遣いでこちらを見上げながら。
♣10
それから、首筋。軽く甘噛み。ああ、始まる。狂おしいぐらいの予兆がぼくの思考の片隅をよぎる。
♢K
そして、決定的な瞬間が訪れる。彼女は華奢な肢体とは裏腹のすさまじい威力でぼくを抱き寄せる。一息にぼくの鎖骨に牙を立てた。刺すような痛み。
(ここまでで合計32だから終わりなんだが、せっかくだから最後まで記述する)
♢7
ああ! 恍惚がぼくの脊髄をたちまち駆け上がる。激痛? そんなものはなかった。ただ熱いだけだ。嬉しい!嬉しい!嬉しい! ぼくはキミと一緒になれる。
飲み込まれていく。咀嚼される、嚥下される、細分される、溶解する。
幸福だ。彼女の色の闇に僕の視界は塗りつぶされた。
『HUNGER』篇
人間の恋人は誰ですか→秘密。幼い恋人同士がいいなと思うけど、それ以上は考えない。吸血鬼が「わたし」、人間が「ぼく」。でも、同性同士かもしれないよってなことで。
これは計画的ですか、自発的ですか→これは計画的。以前から秘密の約束を交わしており決行された。それだけのこと。だからきっと秘密でもあり秘密でもないような、午前中、何処かの木陰でのありきたりの出来事。
HUNGER:どうやって同意を示すんですか→ただ頷くだけでいい。彼らの気持ちは通じ合っている。種族だけが相反して、体だけがすれちがって。今、誤りを正す瞬間がようやく来たのだ。
(とりあえず3枚引いてみる)
♡4
恋人の肌はやわらかい。まるでみずみずしい果実のよう。すぐさま踏み荒らすのももったいなくてわたしは恭しく口づける。肉欲の交らない純粋な気持ちを恋人の皮膚に送る。恋人はいくらか背筋をこわばらせておそるおそるわたしを見やった。恋人への愛しさが沸騰しそうだ。
♡7
だったらこちらはいかがかしら? わたしは興味ないおもちゃを手放すように、持ち上げたばかりの恋人の脚を放り出した。恋人は一際おののく、ああそんなに恐れないで、わたしは絶対にあなたを捨てたりしないから。
少し味を変えたかっただけなのよ。わたしは恋人の首筋に飛びついた。甘噛みする。先ほどよりも強ばった感触が牙を通して脳に伝わった。
♠A
「ああ…」恋人の声は妙なる天上の音楽。甘い旋律がふたりきりの世界をうちふるわせる。
(ここまでで合計15…続けるか、否か。いいや、もう1回行っちゃおう)
「ねえ、」わたしは呼びかける。恋人の肌に舌を沿わせる。これで気持ちはじゅうぶん伝わったでしょ? 恋人は小さい声音で、けれども欠片の迷いなく「いいよ」と答えた。
♠Q(あら思ったより数字がでかすぎるからエンドですね)
「ああ!」もう一度、恋人の喚声。だが、先ほどよりは鋭い叫び。わたしが牙を突き立てたからだ。「ああああああ」いいのよ、もう何も言わなくて。わたしは、わたしだけはあなたのすべてをわかっているから。だからどうぞ、あなたはわたしになって。わたしとひとつになって。
わたしは恋人を骨ものこさずたいらげた。