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    珠丘(たまおか)

    @99_tamaoka

    審神者とマスター、時々旅人な、成人です。
    趣味で絵を描いたり、文章(たまに夢あり)書いてます。
    こちらは趣味絵や文章の闇鍋になっております。
    Xは基本的には情報収集と生存報告とフォロワとの交流。

    プロフ→ https://lit.link/99tamaoka

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    #イケメン嫌いの審神者はかく語る

    刀剣乱舞、創作小話(創作審神者が出ます)
    秋といえば柿。柿と言えばお小夜。

    秋の実り「ここの主は雅というものを本当にしらないようだね?」

     腰と顔に手を当てて、綺麗なお顔を歪ませて、雅代表と言えばこの方、歌仙兼定は呆れ混じりの声で呟いた。

    「生まれ故郷は武蔵野の田舎の田舎の、水田ばかりで古の風習が未だに残るど田舎。柿は丸かじりが美味いのよ。文句ある?」

    「剥くのが面倒なだけだろ!?貸し給え、少しまってなさい!!」

     ぷりぷりと怒る、弊本丸の台所の守護神オカンの一人でもある歌仙兼定は残りの柿の箱を奪い台所に向かっていった。

    「………主、あぁは言ってるけど歌仙は!」
    「ん?わかってるわ。あぁは言いながらも、面倒見はいいからね。」
     私の私室の縁側で、一緒に柿を丸かじるしてた小夜左文字が慌てて喋るの所を被せるように返事する。私の言葉に小夜はほっと顔をする。

     なんとなくだった。
    大学の帰り道。ふと民家の家に柿が実っていた。それを見てお小夜と一緒に柿でも食べるか。そんな軽い気持ちでスーパーの店頭で小さなダンボールに入ってる柿を買って帰った。買ってきて小夜を呼んで二人で丸かじるしよう!っと一つ、二つって所で歌仙兼定に見つかった所だ。

    「なんでバレたのかしら?」
    「前に、りんごを丸かじるしてる所、目撃されてるから…」
    「あぁ、前科があったからね!」
    「主は、丸かじり出来そうな果実はだいたいそうだよね……」
    「おや、小夜さんも雅じゃないと?」
    フフッと笑い小夜を見つめると、小夜は首を横にふり「そういう意味じゃない」と、先と変わって落ち着いた声で話す。いつものようなたんたんとした声だが、次に繋がる言葉が見つからないようで、視線をきょろきょろとしている。私より年上の人たちだが、つい姿が姿の子たちのそういう反応を見ると可愛く思える。
     頭を撫でたくなるのをぐっと堪える。なんとなく左文字兄二人の気持ちが分かった気がする。

    「小夜すけはさ、歌仙と旧知だったの?」
    「………そう、らしい」

     必修ではないが、時間がちょうど空いていたので日本史の講義を取ったときにたまたま知った。審神者になるまで日本史を真面目に聞いてなかった自分を後悔した。
     そうすれば、彼らの気持ちをもっと汲み取れるのかな?っと思った。いや、だめだ、むりだ。特に顔がいい連中は無理だ。

    「色々な話があるから、よくわからない。でも、歌仙は悪人じゃない。」
     話をお小夜に戻そう。小夜左文字の逸話は復讐劇が有名らしい。ただ、それは実は創作では?とも言われている。本当の所は私もしっかり調べてないのでわからない。審神者なら調べとけ!っと言われそうだが、生憎そこまでの探求心は持ち得ていない。
    過去や経験も大切だが、私は今と未来を充実させたい。

    「ほう、じゃ悪い人なら『復讐』、してくれる?」

     青い目が大きく見開きじっと私をみる。

    「主はいるの、『復讐』したい人?」
    「そうねぇ……。」
     ゆっくりと目線を外し、遠くを見る。
    「『いた』ら、どうする?」
    「主が望むなら。」
     真剣な声が、静かに響く。
     私達の間に重い雰囲気が漂う。
    「………その気持ちだけで、十分だわ」
     それだけで私の心は満足だ。
     涼やかな秋風が流れる。静かな足を立てて誰かがこちらにやってくる。

    「さぁ、これでどうだい。」
     得意げな顔の歌仙が、皮を剥いて一口サイズに切った柿とナシを4人分のお皿をお盆に載せて。
    「なし?」
     はて。私はナシを買ってきたきたっけ?首を傾げていると、こちらに向かう聞き慣れない足と私を名前を呼ぶ声がする。
    「あの女学生の見習いくんからの手土産だ。」
    「おぉ。それはありがたい。柿をもっと買ってくるんだった。」
     女学生の見習いくん。
     お近づきになった、知り合いの年上男性審神者の所のお弟子の女子高生ちゃんだ。弊本丸は私が中学高校と新選組に憧れていたので新選組の刀達に目をかけているが、彼女は彼女で伊達の刀たちと仲良しで慕われている。

    「主、楽しそうだね。」
    「そりゃ、友達がくれば楽しいよ。さてさて今日は『どんな驚き』をはなしてくれるのかね?」
     視界に彼女の姿と、伊達組の黒く無愛想な方が入る。おやおや、今日の護衛は大倶利伽羅くんですか。
     彼女は私の姿を捉えると、また名前を呼んでこちらに駆けようとするが護衛が肩に手を起き止める。たぶん危ない走るな。あたりを話してるんだろうなぁ。
     その様子についついニヤけてしまう。うちの大倶利伽羅ではそんな姿見たことない。
    「君も東北の刀に影響されたのかい?」
    「いえいえ?なんとも愛らしい様子だと思いませんか、歌仙さん?」
    「…………そうだね。」
    何かいいたげな顔だが、しらん。
    あちらの本丸の初期刀と近侍は歌仙さん。うちの歌仙とはまたどこか違う。
    ま。顔がいいのは何処も変わらないのだが。

     女子高生ちゃんの護衛は「……食べ物に罪はない」と躊躇いはあったがキレイに食べて、最近の出来事を話す彼女を、我が本丸では見た事の無い穏やかな顔で見つめる大倶利伽羅に内心驚きもあった。楽しい時間はあっという間にすぎる。
     二人と話す間、ずっと小夜を隣に置いていた。今日の近侍は小夜でも歌仙でもない。
     うちの初期刀さまの加州だ。

    「いいなー、俺も柿と梨食べたかったなぁ!」
    「まだ余ってるから明日にでも亀甲と3人で食べよう。」
    加州と亀甲は、こんのすけと一緒に時の政府にお使いに行っていた。
    「それで、どうしてご主人様は柿を買ってきたんだい?」
    「そうそう。俺も思った!主、食にこだわり無いじゃん!!むしろ、普段から俺らが気にしないと食べないじゃん?」
    「あぁ、過去に僕を罵倒しなが食事するご主人さま。思い出すだけでゾクゾクするよ!」
     そんなこともありましたねぇ…。
     審神者になる前から、私は食に対して抵抗があったし、食に欲がない。集中すると食べない。それもあり、加州に何度も注意され歌仙や台所の守護神たちが試行錯誤しながら食事を用意してくれた。
     ただ、たまに食べれない時があるので、無理やり食べさせられる時があり、その都度に不機嫌解消とばかりに亀甲がにこにこと相手してくれた。
     刀剣男士を鍛刀、手入れなので意外と体力を使うので食事はかなり大事だったりしている。というのはわかっているのだが、長年の習慣は変えにくいものだ。
    「………大学帰りに柿の木見てね。お小夜に食べさせて上げたいなぁーって。燭台切じゃ無いけど、柿上げたらお小夜喜ぶかなぁーって。」

    「それで、どうだったの?」
    にやにやしながら加州が聞く。
    「はにかみながら食べてましたよ。てぇてぇですよ、加州さん!!写真取りたかったし、左文字兄弟の気持ちがわかるよー!!」
     私のはしゃぎぶりに、二振りは満足げに頷き聞いてくれた。ここにいる間でいい、ここにいる刀達が少しでも楽しいって思えてくれれ、私の心は満足だ。

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