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    かべうちのかべ

    @mahokabeuchiaka

    まほやくのかべうち。壁打ちの結果であがった物を細々と載せる。
    学パロと両片想いが好き。

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    かべうちのかべ

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    そういうブラネロ4 ペーパーラリー
    サンプル(全文)です。

    ※フォ学設定。
    ※ブラ→←ネロ

    印刷ありがとうございました!

    ##ブラネロ
    ##学パロ

    『誕生日のことばを』ネロはブラッドリーの家のリビングで、持参した物を並べる。
    部屋を飾り付けるのはやり過ぎかと思って、ほんの少し、食卓を飾る程度にしていた。
    落ち着いたアイボリーにモスグリーンのラインの入ったテーブルマットに金縁の広めの白い皿。いつもは使わないそこそこいいカトラリー。高級店、とまではいかないが、ディナーと呼べるようなセッティングだ。と言っても、カトラリーは使わないかも知れない。おしゃれにしすぎたかと悩んでいれば、短く携帯のバイブが鳴る。

    「今から帰る」
    と出た表示に、いつも使っているお気に入りのスタンプを返すと、深呼吸をした。

    今日は、ブラッドリーの誕生日だ。
     冷蔵庫には昨日一晩下味をつけて準備したフライドチキンが油で揚げられるのを待っている。今学校から出たとしたなら、揚げ終わる頃に丁度帰ってくるだろう。
    「よし。やるか」
     気合いを入れ直すようにエプロンの紐をキュッと結ぶとキッチンへと向かった。
     
    コンロに火をつけ、油を温める。一番美味しく揚げる為には高温になるまでしっかりと待たなければいけない。温度を確認するように衣の一部を油に落とした。パチパチと小さな音を立てて浮かび上がった衣に頷くと、チキンを投入する。浮かび上がったチキンを救い出し、バットへあげれば、香ばしい良い匂いがふわりと漂った。
    今日のフライドチキンはチームで出し合ったお金で買ったとびきりいい肉だ。せっかく高い肉が買えるなら、高級牛肉にしようかと思っていたが、ブラッドリーの一番喜ぶものを考えれば自然とこうなったのだが、この香りを嗅げば正解だったと言えるだろう。
    「良いできだな」
     そう呟いた時、玄関の鍵が開く音と、ドタドタと慌てたように入ってくる足音が響く。

    「帰ったぜ! ネロ!」
    「おう、お帰り」
    「良い匂いだな!」
     入ってくるなりキッチンへと顔を見せたブラッドリーは今揚がったばかりのフライドチキンをめざとく見つける。
    「おいこら、先、手洗ってこい!」
    「わーったよ」
    渋々と大人しく洗面所へ向かっていく背中に、ついでに着替えてこいと声をかけた。遠くで気のない声が聞こえた。


    「手、洗って着替えて来たぜ! これでいいだろ」
    「おう。今揚がったから、座れよ」
     タイミングよく帰って来たブラッドリーをセッティングした席へと促す。
    「美味そうだな!」
    「いい肉だろ。皆で買ったんだぜ」
    「さっき学校で聞いて、バイク飛ばして帰ってきた」
    「予想より早かったのはそれでか。いっぱいあるから満足するまで食えよな」
    「おう」
     席に着いたブラッドリーがフライドチキンに伸ばしかけた手をふと止めて、まだ座っていなかったネロを見上げた。見つめられて疑問符を浮かべるネロに口をとがらせて不満そうに、呟くようにいった。
    「……そういや、てめぇからはまだ何も聞いてねぇぞ」
    「……。」

     ネロは一度目をそらすと、向かい側に座って、ゆっくりと呟くように伝えた。

    「……誕生日おめでと」
    「おう。ありがとな。よし、食うぞ!」

     満面の笑みを浮かべ、意気揚々とフライドチキンにかぶりつく姿に、ネロもつられて笑顔になった。

    もう一つのプレゼントをどうやって渡そうかと、美味いと笑う顔を見つめながら考える。でも、今日はまだあと数時間あるのだ、しばらくはこの幸せそうな顔を眺めていたいと、ゆっくりと机に頬杖をついた。

     終
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    かべうちのかべ

    MENU『冬から春へ』
    の書き下ろし2作の冒頭部分抜粋しました。( )内の計は全文の長さ。サンプルはその三分の一くらい。

    『お気に入りは』←オエちゃんとネの出会いと、その数ヶ月後。(計3200字くらい)
    『宴の夜に』←ブ様とおシャイがお話するところ。(計1600字くらい)
    頒布先→ https://mahokabeuchiaka.booth.pm/items/3914349(BOOTH店舗)
    『冬から春へ』書き下ろし文サンプル『お気に入りは』

     ブラッドリーの城の近くの森で動物たちから面白い噂を聞いた。
    『俺たちの言葉がわかるやつがいる』
    『ちょっと聞かないなまりのあることばを話す』
    『近くにいると穏やかな気持ちになる』
    『食べたことのないような、甘くておいしいものをくれる』 等々。
     
     最近何もなくて退屈だし、オーエン以外で動物と話せる存在はそう多くない。それになにより、『甘くておいしいもの』が気になった。オーエンは甘いものに目がないのだ。
     巻き起こる吹雪の中を歩いているとは思えないほどに悠々と進み、しばらく行けば視界が開ける。ブラッドリーの治める領域の中へとたどり着いたのだ。今は昼前で太陽が真上に上り、先ほどとは打って変ってかなりの晴天になっている。そのおかげか、遠くの街の煙突の煙まできれいに見えているが、そちらには目もくれず、その北側へと広がる森へと歩を進めた。
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    かべうちのかべ

    DONE再掲
    ・初めて激オコしたネ君と何が悪かったか分かってないブの話

    第1回ブラネロ冬春ワンドロライ、4回目のお題:喧嘩 より。
    2021.8.30にTwitter掲載済。
    『らしくない』「……」
    「ネロ?なんだそんな恐い顔して」
    「これ……、どうした?」
    「お、それな。美味かったぜ!」
    「……食ったのか?」
    「おう」
    「昨日、これだけは食うなって、言っといたよな?」
    「そう……だったか?まぁ、でもこんな美味そうなもん我慢できねぇし、また作ればいいだろ?」
     悪びれもせずにそう言って笑うブラッドリーとは反対に、ネロは感情を落としたように無表情だ。何度か耐えるように呼吸を繰り返していたが、どうにも収まらない怒りがあふれ出す。
    唇をかみしめ、顔をゆがめてブラッドリーをにらみつけるとキッチンから荒々しく駆けだした。感情にまかせた言葉を吐き捨てて。
    「てめぇは……野菜でも食ってろ!」
    「は? おい、ネロ!」

     涙こそ出てはいないが、明らかに傷ついた表情で去って行ったネロに困惑するブラッドリーは、何がなんだかさっぱりと分かっていなかった。そのまま呆然と扉を見つめ考え込むが、何度思い返してみてもいつものつまみ食いとなにも変わらない行動だったと思う。
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