29年目の127【こせん五七】五誕誕生日は嫌い。
俺の眼を見た母親は怯えていた。
父親はよくやったと母親を褒めた。
俺は生まれた時の記憶すら忘れられない程有能に出来ていた。
あー、生まれ落ちてしまった。
選ぶ選択肢も与えられないこの地獄に。
* * *
「地獄なら地獄なりに楽しんではどうですか?コレどうぞ」
目の前のひょろっこいヤツは言った。
何言ってんだコイツ。なにそれ?ずっと食べたかった早朝から行列の出来るケーキ屋の限定ザッハトルテじゃん。真面目が初めて授業サボったって聞いたけど、まさかコレの為かよ、ウケる。
「ー?何?何の用?ケーキ?なんで?俺はみんなが開いてくれた誕生日パーティーを滅茶苦茶楽しんだけど?ナニ?パーティーの後お持ち帰りでもされたかったの?真面目な顔してムッツリか、七海」
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