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    はいはい

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    #五悠
    GoYuu

    「どうしたの悠仁」
    悠仁が急に立ち止まったせいで、数歩先を進んでいた五条が振り返った。
    悠仁の心臓は激しく鼓動を打ち爆散秒読みに入っている。
    言うか言うまいか、悠仁はもうずっと頭を悩ませていた。しかしこれ以上黙っているのは無理だという考えに至った。
    任務帰り。もうすぐ日付が変わる頃、まだ開いているラーメン屋に入って、共に腹を満たした。店を出ると、火照った肌に夜風が気持ち良かった。
    人気の無い遊歩道を並んで歩いているうちに、気持ちが込み上げてきて、声に出さずにはいられなくなってしまった。
    「俺、五条先生のことが好きなんだ」
    心臓がこんなにも速く打つのは初めてのことで、それなりに死線を越えてきたつもりだったけど、それとこれとはまた別なんだなと悠仁は思った。
    五条は振り返ったままの姿勢でしばらく止まっていたが、首筋をポリポリと指で掻いてから、体ごと悠仁の方を向いた。
    「悠仁はどうしたいの?」
    どうしたいか、そんなこと聞かれるなんて思ってもなかった悠仁は、自分がどうしたいのか考えてみた。わからなかった。
    「どうしたいんだろう」
    と、困ったように五条を見る。
    すると五条はフハッと吹き出して、笑った。
    「僕に好きだって言うだけ?言ってどうするつもりだったの?」
    「いやぁ、そこまで考えてなかったわ」
    「なんだよそれ」
    「ごめん」
    「謝ることないけど。悠仁に好きって言われて気分はいいよ」
    「でも先生ゲイじゃないだろ」
    「そうね。悠仁はゲイなの?」
    「違うと思う」
    「だよね。タッパとケツのデカい女が好きなんだもんね。僕はタッパはあるけどケツのデカい女じゃないし」
    「もーっそれ今いいからっ」
    「付き合ってみたらいいんじゃない?」
    「え?」
    「告白したら返事が返ってくるもんでしょ。イエスかノーか。僕はノーじゃないから付き合ってみたらいいじゃん。恋愛は青春の醍醐味だもん。あ、もちろん僕のじゃないよ。悠仁のね」
    口角を上げたままぺらぺらとしゃべる五条に、悠仁は呆気に取られた。
    「本当なら相手は同年代の女の子とかがいいんだろうけど、悠仁が僕のこと好きならそこは変えられないから、僕が悠仁の恋人になるよ。それでオッケー?」
    五条は腰を屈めて、ぽかんとしたままの悠仁の顔を覗き込んだ。
    「悠仁?」
    「……あ、うん。オッケー……」
    悠仁が状況を把握しきれないままで答えると、五条はにかっと笑って言った。
    「じゃあ今から僕と悠仁は恋人同士ね」

    それが一ヶ月前の話。
    五条は多忙であり、二人きりの時間はそんなに作れないものの、時間が合えば二人で食事をしたり、任務がてら二人で街をぶらぶらしたりした。
    五条は意識的に二人の時間を作ってくれているようだった。
    悠仁としては一緒にいられる時間があれば嬉しいし、五条と過ごす時間は食事や映画鑑賞のほか、任務や特訓でも充実感があった。
    ただ一つ、悠仁には気にかかっていることがある。
    それは二人の間に恋人らしさがないこと。
    二人で過ごす時間は増えたが、これまで通り稽古をつけてもらったり、冗談を言い合いながら笑ったり。楽しいけれど、そこにイチャイチャなど存在しない。
    それどころか、一度手を繋いだ時にはすぐに離されてしまったし、ハグを試みたときにも、すぐに引き剥がされてしまった。
    薄々気づいていたけど、五条先生は無理に俺の青春に付き合ってくれてるのかもしれない。
    悠仁はそう思うようになった。
    それでも五条のことを好きなので、二人で過ごしていると触れたくなってしまう。
    「なぁ五条先生」
    「ん?」
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