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    しいげ

    @shiige6

    二次創作オンリー※BLを含む/過去ログは過去に置いてきた。

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    しいげ

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    タナザグ前提でタナトスとヘルメスの会話妄想。お互いズバズバ言いそうだなと思って。(ザグレウス出てきません)

    ##HADES
    #タナザグ
    tanazag.

    「あ!ねえねえ!聞いたよおめでとう!」

    ヘルメス神に出会ったのは、そろそろ中天に届く太陽から逃れようとしていた時だ。
    身に纏う羽根がきらりと輝く様すらタナトスの目には煩わしいが、だからといって邪険にするほどでもない。
    ヘルメスに対するタナトスの印象は、忙しない、悪意はない、カロンとは親しい、通りすがりに会っては一方的に話し掛けてくる、そんなところだ。
    だが今日は明らかに呼び止められてしまい、タナトスは音もなく足を止める。
    「何の話だ」
    「ボスの、ザグくんとのこと。両想いになったんでしょ?良かった良かった!」
    早口ながら聞き取りやすく、声量もやたらに周囲に響かないよう加減している。騒がしいが気は利く神だ。
    だが無遠慮なのは地上の神共通なのかこいつの性格なのか。
    伝達の神らしく情報網も一流らしいが、一体どこから嗅ぎつけるのやら。
    否定も肯定も一言たりとも発しないのは、この手合いにどう言い繕っても無駄だろうことと、偽ってまで隠す事でもないからだ。
    それを了解と受け取り、ヘルメスは嬉しそうに笑う。
    何をそんなに嬉しそうに、とタナトスが疑問に思うとほぼ同時、ヘルメスは同じ表情のまま言葉を継いだ。

    「でもさ、だったらザグくんが地上に行っちゃうの嫌じゃない?
     もし彼が地上に出て、そのまま帰ってこなかったらって思わない?
     それが嫌だったから、最初はザグくんを追いかけてたんでしょ?」

    タナトスは少し認識を改める。無遠慮なのはどうもこいつの性格らしい。
    少し前までの自分なら表に出さずとも怒りを覚えただろう。
    何を知ったような口をと。図星だと己で認めることすらできず。
    だがもはや今となっては。

    ───ふ。

    タナトスが唇に載せたのは、それと正反対の感情だった。

    「ザグレウスは帰ってくるさ。寄り道はするかもしれないがな。
     例え地上で永きを過ごせるようになってもだ。
     それが分かっているから、俺は待ってやれる。いつまででもな」

    見栄でも虚勢でもない、自信に満ちた物言いだ。
    何より目の前の神を驚かせたのはその表情。
    話は終わりだと、ヘルメスの感想も反問も待つことなく、タナトスはその場をあとにした。


    ◇  ◇  ◇


    「──最近、またタナトスに会ったんだけど、ボスの名前を言った瞬間、ちょっと笑ったみたいに見えたんだよね。あいつが笑うところなんて、初めて見たよ!」


    半分つまらなそうに、半分は愉快そうに、俊足の神は今日も声だけを冥界の奥のザグレウスに届ける。
    悪意はなく、遠慮もない、忙しなく沸き上がる好奇心とともに。
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