初めての喧嘩「喧嘩するほど仲がいいって良く聞くけど、俺とナナミンって喧嘩した事ないよな」
ソファーに座り私は小説を、彼は漫画を読んでいる最中にふと彼が呟いた。
あまりにも突然の話題で思わずフリーズする。…喧嘩?何故喧嘩?私に何か不満でもあるのだろうか?お前はプライベートだと口下手だと言われる事が多々あるが、そのせいで何かあらぬ誤解が生まれてしまったのかもしれない。彼に真意を聞かなくては。
「私と喧嘩がしたいんですか?」
そう問いかけると彼は笑いながら「まさか!つーか俺らが喧嘩したら家壊れるって!」と言って読んでいた漫画を閉じた。
家屋を破壊する程の喧嘩とは?と思わなくも無かったが、理由によっては十分に有り得る気もしたので私は彼に倣うようにして読んでいた小説を閉じて彼の話に耳を傾けた。その間も彼は何を想像したのかソファーの上で笑い転げながら「壊れる壊れる!」と連呼していて、笑う彼に合わせて喉仏が上下に動いていた。
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