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    はゆや

    @soushokukoebi

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    はゆや

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    ※死ネタです
    あおかわさんのお話から生まれた妄想です!

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation

    魏無羨が死期を悟り、景儀と思追に遺言を残す話「思追、景儀」
    昔は雲深不知処中に響き渡る大きな声だったのに、今では蚊の飛ぶ音の方が大きい。
    「魏先輩、どうされましたか」
    「お前達二人にお願いがあるんだ。もし俺が死んだらこの身体は莫玄羽として弔ってあげてくれ。含光君の墓には陳情をいれてくれないか?」

    二人の正座した膝の上に乗る拳はギリギリ音を立てて固くなっていく。
    「魏先輩、それは」
    「俺はこの身体を借りてるようなもんだ。魂が無くなればこれは莫玄羽だ。俺の死体は遥か昔に跡形も無くなって消えている。だから……せめて藍湛の隣に、陳情を置いて欲しいんだ」
    思追と景儀にとって、目の前の人間は魏無羨以外の何者でもない。
    しかし、彼は莫玄羽に献舎された死人である。魂がこの器から出ていったら、魏無羨はなにも残らないのだ。


    魏無羨の願いは簡単なようでとても難易度が高い。
    未だに夷陵老祖を崇拝し、鬼道を求めるものは多い。彼らにとって陳情は喉から手が出る程欲しい宝具だ。
    それが墓の中にあると知られれば……
    「お前らに面倒をかけないように、ちゃんと考えてあるぞ。これも陳情だ」
    力無くそっと出された笛は持ち主の手から直ぐに落ちていく。
    慌てて掴んだ景儀は、魏無羨の顔をじっと見た。
    「これ、偽物じゃないか!」
    「俺が、陳情と言ったから陳情なんだ」
    姑蘇藍氏は嘘をつけない。
    本物の陳情は墓に入れ、似たように作られたこれを禁書庫で管理しろと言いたいんだろう。
    「魏先輩……羨哥哥。思追はあなたにまだそばにいて欲しいです!」
    「ははっ! 阿苑は爺さんになっても甘えん坊だな。景儀も鼻水まみれの顔しやがって」
    「うぅうぅう。あんたはもう仙人みたいにずっと生きてるんじゃないかって思ってたんだよぉおうぅぅ」
    「俺は死人だ。ただ器に繋ぎ止められてるだけの死人。はぁ、まさか誰よりも長く現世に留まることになるとは思わなかったぜ。そろそろあっちに戻らないとな。今頃藍湛と江澄が喧嘩でもして、沢蕪君と聶兄が困ってるだろ。あぁー耳元で騒ぐな。そこまで俺の耳は遠くなってないぞ。あぁ、それとこれ、温寧に渡してくれ。あと早く来る必要はないって伝えておいてくれ」
    「自分で渡せばいいだろ! だから、死なないでくれよぉー!」
    「羨哥哥〜〜!!」
    「はぁ、あのなぁ、俺はもう死んでるの。今がおかしいんだ。元に還るだけだよ。ああ、もう眠い。早く藍湛に抱きしめてもらいたい」
    思追と景儀はそう言われるともうなにも言えなくなった。
    「藍湛が死んで10年か。あいつは凄いよ。俺は13年も待てない。でも約束通りちゃんと生きたからご褒美もらわないとな……思追、景儀。ありがとう」
    魏無羨はにこりと力なく笑い、そのまま目は開くことはなかった。


    魏無羨の遺言通り、魂の無くなった器は莫玄羽として、金麟台で処理された。
    金凌が彼の墓の隣に蓮の池を作ったようだ。
    随便は江宗主の三毒と共に納められ、陳情は藍忘機と共に眠りについた。
    温寧はもう充分生きたと、魏無羨から渡された宝具を使い、大好きな姉の元へと還った。
    偽物の陳情は雲深不知処で保管された。多くの者に難癖を付けられたが、わざわざ火をつけてまで取りに来る程愚かな者は居なかった。




    中元節になった。
    思追、景儀、金凌は天子笑を大量に用意して呑んでいた。
    何故だかいつもより酒の減りが早い気がする。
    「羨哥哥が帰ってきたのかな」
    「きっと叔父上も一緒に帰ってきて、言い争ながら呑んでるんじゃないか」
    「きっと含光君は恐ろしい目でみてるんだろうなぁー」
    「景儀やめてよ。なんか寒気してきた」
    「あーたぶん今、含光君に魏先輩は抱きしめられて、江宗主は睨んでる気がする」
    そんな3人の元になんだ、よく見えてるじゃないか!と笑う懐かしい声が聞こえた気がした。
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    DONE酔って陽気になって「渙渙」って呼ばれたい兄上(馬鹿力)
    Qにはいつだって夢が詰まってる。
     誰だ。この人に酒を飲ませたのは。
     ……俺だな。
     今まさに自分の身に降りかかっている惨状に溜め息を吐いて、江澄は手にある酒杯を煽った。いっそ自分も酒精に理性を奪われてしまっていれば楽になれただろうに、真後ろに酔っ払いがいる状態では、酔うに酔えない。むしろ酔いもさめた。
     卓の上に散乱した酒壷と元は酒杯だったものの残骸を見つめて眉間にしわを寄せた。途端、後ろから伸びて来た指が、ぐりぐりと眉間の皺を伸ばそうと押してくる。
     痛い。この馬鹿力め。
     怒鳴る気すら失せて、煩わし気に手を払うと、くすくすと楽し気な笑い声が聞こえてくる。
    「おい、藍渙。そろそろ放してくれ」
     椅子に座り、膝の上に自分を乗せて後ろから抱きかかえている藍曦臣に無駄だと分かりながらも声をかけた。顎でも乗せたのか、ずっしりと肩が重くなる。
    「なぜだい? こんなに楽しいのに」
    「そうか。あなたは楽しいか。それはよかった。だが、放しても楽しいと思うぞ」
     俺は楽しくない、という言葉は辛うじて飲み込んだ。
     藍曦臣は酒精を飛ばして水のようにして飲むことができる、と魏無羨から聞いていたため、藍曦臣が珍しく茶ではなく、江澄の酒壷 3901