せんせ、教えて?「ね、せんせ、大人のキスってどんな感じなの?」
「……どうしました? 急に」
ケイローンに与えられている部屋へ、いつものように滑り込んだ。
そんな私に既に慣れてしまった彼は、特段気にした様子もなく机に向かう。本を読んだり書き物をしたり。いつもの鎧を脱ぎ捨てて寛いでいる。
それが悔しくて、気を引きたくて。いつからかこんな問いかけを始めた。
初めは、彼を少し困らせて満足していた。
それでも教えてくれなかったり、わからないなどとは言わないものだから、段々と調子に乗っていった。
無遠慮に座り込んだベッドの上、苦笑いを零した彼を挑戦的な瞳で見つめる。
「気になっちゃったの、教えてくれる?」
「……いいでしょう。貴女がそれを望むなら」
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