ノンアルコール・モヒート!(8) それから数日。
藍湛は店に来ず、俺は無意識の溜息が増えた。
「シンデレラ君と、何かあった?」
今は店内に女子大生一人。お気に入りのカクテルを飲みながら、お気に入りの席を立ち上がりカウンターに近付いてくる。
「……いや、別に」
スツールに腰掛けずカウンターに腕を付いて、わざとらしく大きな溜息を吐き出した。グラスを両手に持ちながら上目遣いに見上げられる。
「わかりやす過ぎ。告白でもされた?」
俺はたまたま飲んでた烏龍茶を吐き出しそうになった。変な所に入って物凄く噎せてしまう。
「ちょっと、大丈夫?もしかして、マジ?」
『んなわけあるか!』と心の中で叫ぶ。流石に接客中にそんな乱暴な言葉遣いは、お客様にしてはいけない。
2030