モブに見られた忘羨(書きかけ)「あのっ!」
魏無羨が呼び止められたことに気づいて振り返ると、そこには紫色の衣を着た雲夢江氏のでしと思しき人が心配そうに彼を見つめていた。
「ん? なんだ?」
「あの……、辛いことがあったらいつでも雲夢に戻ってきてくださいね!」
「どうした、何があった?」
魏無羨が眉をひそめて近づいてくるので、江氏の弟子は思わず指を差して指摘した。
「魏公子ってよくはだけた服を着るじゃないですか。……それで、うなじから肩にかけて赤い傷跡やアザが見えているんです」
「それがどうした?」
すると、江氏の弟子はどこか心配そうな表情をして、重そうな空気感を醸し出しながら言った。
「もしかして魏公子は道侶の方から暴力を受けているのではと……」
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