含光君と悪戯がバレた顔 清談会に二人揃って出るようになって久しい頃、各仙門の動きには興味があるが関わるつもりなどない魏無羨は、耳しか動かさないために目と口と暇を持て余していた。夷陵老祖の話が出ても知らん顔が出来るのは、藍家に馴染んで面の顔が硬くなった…わけではなく、不当なことがあれば道侶や宗主が処理すると弁えているのと、特段待遇に甘んじているわけではなく「時に為さぬことで成す」という意味に気づきつつあるからでもあった。
元より夷陵老祖の魏無羨ではなく、藍忘機の道侶として参加しているから、不用意に人を煽らないという言いつけを愛する道侶のために守っている。じっと座って口をつぐんでいる。それ以外のことは好きなことなんでもしていいといわんばかりの大層な甘さが見えるが、雲夢江氏当時の切れ味の強すぎる魏無羨を知るものにとっては、それだけでも信じられない偉業ともいえる。状況は違うものの、自分の元ではこんな風に師兄を自由にさせることができなかったと自覚する江澄は、いつにも増して瘡蓋を剥がしたかのようなしかめ面をしている。
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