爪切りえっちぱちん、ぱちん。
とある日の夕方、縁側に座っていたら、後ろの方からそんな音がした。
なんだろう、と思って振り向くと、霊夢と目が合った。
「あ」
「どうしたのお茶」
「いや、違う」
霊夢の言葉にそう返すと、霊夢はそう?と小さく首を傾げた。
それからまた、ぱちん、ぱちんという音がした。
霊夢の傍らには薄い紙が置いてあり、その上で爪を切っているみたいだった。
「爪…」
「うん、切ってる。駄目だったかしら」
「いや…」
別にだめとか、そんなんじゃない。
ただちょっと、別のことを考えちゃっただけ。
だってほら、爪を切った夜は決まって…
「ねぇ魔理沙、今何考えてたの」
いつの間にか背後に来ていた霊夢に、そう聞かれた。
「え、えっと…」
言葉に詰まる。
いやらしいこと考えてました、なんて言えるわけ無いのに。
「…魔理沙」
「ぼーっとしてた、だけ」
「本当は」
あ、これ、気付かれてる。
絶対、私がそういうこと考えてたの、わかって聞いてる。
「…夜のこと」
「うん、だって私が爪、切ってたもんね」
「……うん」
するりと、手が絡められた。
どきどきする。もしかして、今から…
「顔、こっち向けて」
「…ん」
言われた通りに顔を向けると、ちゅ、とキスされた。
一瞬だけ。
戸惑いを隠せない。
絶対する流れだと思ったのに。
「…何その顔。駄目よ、まだ夜じゃないから」
「え…」
そんなのって、そんなのって…。
「……夜、めちゃくちゃにしてあげるから」
不意に耳元でそう囁かれた。
ぴく、と身体が反応してしまう。
「爪切ったから、中、奥までいっぱい…ね」
「…っ、れ…」
想像しちゃって、ぞくぞくする。
期待に胸が高まった、のに、
「さて、そろそろおゆはん作らなきゃ」
霊夢はそう言って立ち上がってしまった。
「え、まって」
「…言ったでしょ夜って。それともまさか、して欲しくなっちゃった」
図星。
だけどそうなるように仕向けたのは霊夢じゃん。
言ってしまわぬように、ぐっと堪えた。
欲しいとも、霊夢のせいとも。
「あれくらいじゃ、別になんとも。それより、私もおゆはん作るの手伝うぜ」
「あら、それは助かるわ。けどそれなら、さっきの色っぽい声はなんだったのかしら」
ん〜?と明らかに理由も全部わかってる様子で霊夢が聞いてくる。
せっかく誤魔化せるって思ったのに、やっぱり全部全部バレてた。
「そ、れは…」
「うん、何」
「…ばか、いじわる」
私の言葉を聞いて、霊夢が呆れたように笑った。
「それは悪口でしょうに」
「霊夢がわるい」
はいはいごめんね、と笑いながら頭を撫でられる。
ちょっとくらい動揺してくれてもいいのに、悔しい。
「じゃあ、おゆはん作りましょうか」
ほら、と霊夢が手を差し伸べる。
素直にその手を握るのは癪に障るので、気付いてないふりをしていたらぐいっと引っ張られた。
「わっ」
「おゆはん、作るの手伝ってくれるんでしょう」
「あー...うん、そうだったな」
そういえばそんな事を言ってた。
ちょっとめんどくさい。
思っていたことが見透かされたのか、霊夢にぐいっと引き寄せられた。
「おゆはん食べたら、しちゃう」
耳元でそう囁かれた。
「ば、ばかっ」
霊夢は楽しそうに、ふふっと笑った。
期待してるのも、きっと全部バレてしまっているのだろう。
耳とか顔とかが紅くなった理由も、全部。
自分だけが紅くなってるのがちょっと悔しい。
でも、紅白巫女の頬を紅く染めるのはいつだってうまくいかない。
だからこういう時、私は精一杯の気持ちを込めてこう言ってやるんだ。
「好きだよ」って。
<あとがき>
いつだってオチは思いつかない。
そのせいでこんな短い話も中々書き終わらない
いつものことです。
オチが謎なのもいつものことです
攻めがえっちする前に爪切るっていうのを受けが覚えちゃって、攻めが爪切ってるのを見るだけで色々意識しちゃう感じのやつ
とても好きです
可愛さ伝わるかなぁ…
書くの楽しかった!!!
えっちなやつです()
性癖詰めすぎた感あるけどいいよね、許してね
衝動的に書き始めたやつはその時に書き上げないと放置してしまうね…うん………
とにかく楽しかった!!!
おしまい
またね〜!!!