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    もどき

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    もどき

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    やべぇ学パロです
    表(霊夢さん視点)と裏(魔理沙さん視点)があるのでこっちから読んでくださいまし〜
    プリ小説にも載せてます

    #レイマリ
    #東方Project
    tohoProject

    レイマリ学パロ(表)あの子が学校にこなくなったのは今から丁度2週間前のことだった。
    私は詳しいことは知らないが、噂によるとこなくなる前日に何かあったらしい。
    まぁそれは当然か、と今日も主人が来てなくて退屈そうな彼女の机を眺めながらそんなことを思っていた。

    今日はこの2週間で溜まりに溜まったプリントを持って、放課後にあの子の家を訪ねるつもりだ。
    本当はどんな状態なのか、何をして過ごしているのか気になって仕方が無いが、プリントを受け取ってもらえれば十分だ。
    家が近い訳でもないし、むしろ反対方向なのだが行きたいから行くので問題ない。

    授業が終わり、部活に入っていない生徒が一斉に帰っていく。
    それを横目で見つつ、彼女の机の中に入っているプリントを取り出した。
    自分のと混ざっても困るのでそのまま手で持っていくことにした。

    あの子の家は学校からはあまり離れていないのだ。
    ここ一帯では1番立派な家に住んでいて、確か父親が社長かなんかだったか。
    こんこん、と扉を叩くと中から家政婦のような人が出てきた。
    「…なんの御用でしょうか」
    「魔理沙の友人です。学校のプリントを届けに来ました」
    そう言いながら手に持っていたプリントを差し出そうとすると、家政婦はそれに気付かなかったのか私の目の前で扉を閉めて中に戻っていってしまった。

    これは、帰った方がいいのか。
    しばらく外で待たされて、それでも家政婦が戻ってくる気配は無かった。
    それからさらに数分後、扉が開いた。
    「なんの用…」
    ふわふわの金髪を揺らしながら部屋着姿で出てきたのは、魔理沙だった。
    「これ、学校のプリント届けに来たのよ」
    「あぁ、悪いな」
    そう言いながらプリントを受け取る魔理沙はとても具合が悪いようには見えなかった。

    「霊夢…さ、時間ある」
    「え特に用事はないけど…」
    そう返すと、魔理沙はちょっと考えるようにして、それから
    「ちょっと部屋、来てくれる」
    と言った。
    魔理沙の部屋に入ることは初めてではない。
    それでも家に来たの自体が久しぶりだったから部屋に入るのも久々だった。

    「ごめん、散らかってるけど…」
    「ん、大丈夫」
    2週間ずっとこの部屋に居た割にはそこまで散らかっていなかった。
    ただただ、ものが多いだけ。
    多分掃除は家政婦か誰かがやっていたんだと思う。
    魔理沙は私にベットに座るようにと促した。
    大人しくベットの端に腰掛けた。
    魔理沙は私の座ったすぐ横に、ほんとに近くに座った。

    「心配…掛けたよな」
    「そりゃあね」
    ごめん、と申し訳なさそうに謝りながらも魔理沙はしきりに目をきょろきょろさせていた。
    締め切られたカーテンの隙間から入ってくる陽がすこしだけ眩しい。
    「話、聞いてくれる」
    「えぇ、もちろん」
    「…あのね」

    魔理沙はそう言ってぽつりぽつり、と話し出した。
    学校にこなくなる前の日、習い事があったこと。
    習い事が手違いで伸びて帰りが遅くなったこと。
    忙しい時期だったから誰も迎えに来れなかったこと。
    それから、暗闇で知らない男に手首を掴まれたこと。
    それからは男の人が怖くて学校にも行けなくなってしまったこと。

    「ありがと、聞いてくれて」
    そういう魔理沙の表情は、こころなしかさっきよりも明るくなったような気がした。
    「こちらこそ、話してくれてありがとう」
    先生は、魔理沙は体調不良で休みだと言っていたけど私は違うと思っていた。
    やっぱり、とは思ったけどどんなことがあったかまでは想像もつかなかった。
    「あ、もう平気だから。近いうちにまた…学校行くよ」
    「…そう」

    ”本当に?”

    その言葉はなんとなく言っちゃいけない気がして、私は喉まで出かかった言葉を抑え込むように飲み込んだ。

    本当にもう平気なの?
    本当に大丈夫なの?
    本当に手首を掴まれただけなの?

    それらの言葉の代わりに私は
    「良かった」
    等と無責任とも捉えられる言葉を並べた。
    カーテンの隙間から入ってくる陽が、強い橙色に変わった頃、外から5時を知らせる音楽が聞こえてきた。
    「霊夢、帰らなくて大丈夫なのか」
    「もうそんな時間なのね…」
    学校から出てそのままなので家にはまだ帰っていない。
    「暗くなる前に…帰った方が…」
    「そうね、帰ろうかな」

    帰る前、魔理沙は玄関まで見送ってくれた。
    出来るだけ急いで、人がよく通る所を通って、明るいうちに帰って、と何度も何度も繰り返しながら見送ってくれた。
    真っ赤に染まった空は、きっとすぐにでも夜の帳が下りる。
    確かに暗い夜道を1人で歩くのは怖いかもしれない。
    暗闇で知らない人に手首を掴まれるのだってきっと怖い。

    …あれ?それなら魔理沙はどうして手首を掴んできたのが男の人だってわかったんだろう?
    きっと全ては語ってくれなかったんだと、思う。
    本当は何があったのか、聞こうとは思わないけどきっともっと…。

    結局私はまだ薄暗いうちには家に着くことが出来た。
    自分の部屋に駆け上がって、ベットに鞄を叩きつける。
    もうなんか頭がごちゃごちゃして、さっさと寝てしまいたかった。
    だから私は1階から夕飯が出来た、という声を聞くまでは鞄を抱いたまま眠っていた。

    夕食もそこそこに、自室へと戻った私は明日の準備だけ済ませて、布団に潜り込んだ。
    冷え切った足が体温を取り戻すまで、さほど時間は掛からなかった。
    そのうち私は眠っていたらしい。
    気が付いたら、外が明るかった。

    学校に着くと今日も先生は欠席の人とその状態を伝えていた。
    今日も斜め前の魔理沙の席は、退屈そうだった。
    男が怖いってどんな感じだろう、そんなことを思いながらいつものように騒ぐ男子を眺めていたら休み時間はあっという間に終わってしまった。

    今日も私はプリントを届けに行くことにした。
    本当は家を訪ねる口実が欲しかっただけなのかもしれない。
    「また来たのか」
    「また来たわ」
    一見私のことを邪険にしているようにも思える魔理沙の言葉とは裏腹に、表情はとても明るかった。
    「上がってく」
    「そのつもり」

    魔理沙の部屋は昨日とは何も変わっていなかった。
    強いて言うならカーテンが少しだけ開いているくらい。
    まるで中から外を眺めていたような。
    「もしかして、待ってた」
    「…悪い暇なんだよ1人だと」
    意外にあっさりと認めて少し拍子抜けした。

    「それじゃ、いつも何してるの」
    「えーっと、勉強とか…」
    「え、真面目」
    これなら学校に復帰した時も授業について行けなかったりは無さそうだ。
    「来週から、学校行くつもりだから」
    なんの前触れもなく突然そう告げられた。
    「大丈夫なの」
    「ん、大丈夫だから安心して」
    嘘。大丈夫なんかじゃない癖に。

    「そもそもさ、何が怖いの」
    「何が…って」
    「男の人の」
    その瞬間、魔理沙がビクッと僅かに震えたのがわかった。
    「あ、えーと…なんだろうなぁ」
    わかんないや、とわざとらしく笑いながら言っているが、わからないんじゃなくて言えないんだと、私は思った。
    「多分、暗闇で掴まれたから恐怖が倍増してるだけじゃないか」
    「ほんとにそうなの」
    「そうだと思うけど、やっぱりわかんないな」
    「本当はもっと別のことされたんでしょ」
    「え」

    あ、しまったと思った。
    魔理沙も混乱してるし、私だって言うつもり無かったしあくまで仮説の段階だし。
    「…何言ってんだよ、そんな訳ないじゃん」
    そう言う魔理沙の手は震えていた。
    「そ…そうよねごめんね変なこと言って」
    「大丈夫…だけど今日はもう帰って…」
    何かに怯えるように魔理沙はそう言って、ごめん、と言いながら私を出口の方へ追いやった。

    とりあえずここにいても仕方ないので魔理沙の家を出て帰路を辿ることにした。
    まだ明るくて、多分十数分くらいしか経ってないのだろう。
    さて、古傷を抉るようなことをしてしまった。
    震えていた。怖がってた。
    一体どんな恐ろしいことを思い出したんだろう。
    いつもきらきらしてて、明るくって、そんな子があんな顔するなんて。

    「…可愛い」
    口をついて出たみたいに、そんな言葉が飛び出した。
    幸い周りに私以外に人は居らず、誰にも聞かれていない。
    それでも今の自分の発言はちょっと人格を疑う。
    友人の怯えてる姿を可愛い、だなんて思うのは流石におかしい。

    …ううん、あいつが可愛いのがいけないんだ。
    何してても可愛いんだから怯えてる姿だって可愛いに決まってる。
    可愛いと思ってしまうのも仕方ないの。
    なんて、とんでもないこじつけだとは思うが、それ以外の理由なんて思いつかなかった。

    今日は金曜日、平日最後の日だった。
    相変わらず魔理沙は来ていない。
    さて、昨日部屋を追い出されるようにして帰った手前、今日家に訪ねても良いものなのだろうか。
    そんなことを思っていた昼休み、先生に頼み事をされた。
    配布物を魔理沙の家に届けて欲しいという内容だった。

    そんな先生からの頼みをいいことに、今日もまた魔理沙の家を訪ねた。
    意外にも魔理沙はあっさりと出てきて笑顔で迎え入れてくれた。
    「えと…昨日はごめんな帰ってとか、言っちゃって…」
    「ううん、大丈夫よ。それより元気だった」
    「うん、特に変わらず」
    何処か楽しげににこにこと笑いながら魔理沙は私を家の中へと誘った。

    「あれ、制服」
    部屋の内側のドアノブにハンガーに掛かった制服が掛けてあった。
    「そ、来週から行くから」
    「決定事項なの」
    「なんだよ、来て欲しくないのか」
    失言だったか、と思って魔理沙の方を見ると相変わらず魔理沙はにこにこと笑っていた。
    ほっ、と胸を撫で下ろす。

    「それで、頼み事があるんだけど…行きと帰り一緒じゃだめかな」
    「良いけど…迎えに来て欲しいってこと」
    そう、というのを魔理沙は頷くことで表した。
    「いいよ、一緒に行こうか」
    「ほんとありがと…」
    魔理沙は本当に嬉しそうに、そしてほっとしたようにそう言った。
    「じゃあ来週から迎えに来ればいいのね」
    「うん、お願い」

    何をしたかもあんまり覚えてない休日が終わって、また平日がやって来る。
    魔理沙の家に行くと彼女は既に準備を終えていたようで、久々に見た制服姿に少し戸惑う。
    「おはよ」
    「おはよう…どうした」
    「いや、制服姿久しぶりに見たなーって」
    なんだそれ、と言って魔理沙は笑った。

    なんだ、思ったより平気そうじゃない。
    そう思ったのはほんの一瞬。
    目の前をただ普通に通ってただけの男性により状況は一転した。
    「や…ごめんなさ…っ」
    「…魔理沙」
    「こわいっこわいよ」
    振り向くと、そこにいた魔理沙は酷く怯えた様子で目尻に溜まった涙は今にも零れ落ちそうだった。
    「やだやだ、やめて」
    「ちょっと、魔理沙」
    「あ、ぁああ…いやだ…いやっいやぁ…」
    「魔理沙」

    強めの口調で呼び掛けると、魔理沙は我に返ったようにはっとして辺りを見渡した。
    さっきそこを通っていた男性はもう既に通り過ぎた後だった。
    「あ、私…」
    「…大丈夫」
    「だめ…かも」
    そりゃそうだろう。
    ただ歩いてる男性を見ただけでこんなになるなら学校で男子生徒に話しかけられたら、きっともっと怯える。

    「今日は休もっか」
    「で、でもお父様が…あ」
    お父様?あぁ、魔理沙の父親か。
    多分、そのお父様とやらに行けと言われてる感じなのだろう。
    「な、なんでもないからっほら、早く行こうぜ」
    誤魔化すようにそう言いながら学校の方へと私の腕を引っ張る。
    「駄目そうだったら…」
    「大丈夫だから早く行かないと遅刻するし」

    …仕方ない。
    正直さっきの状況を見て学校に連れて行こうとは思えないのだが、魔理沙が自分で行くって言ってるし、と思って仕方なく連れて行くことにした。
    「外出たの久しぶりだなぁ」
    私からしたらなんの代わり映えもしない通学路をきょろきょろ見回しながら歩く魔理沙。
    幸い、人はあまり歩いていなかった。
    仮に男性がいたら魔理沙がそれに気が付かないように話題を振る。

    それで、登校はなんとかなった。
    しかし学校に着くとそうも言ってられない。
    まず昇降口に男の先生、そして他にも会う箇所はあるだろうし何より問題なのが担任が男ということだ。
    「魔理沙、そこにいるのは先生だからね。大丈夫よ」
    「…それくらい知ってるけど」
    何言ってんだ、という顔で見られたのはちょっと納得いかないが先生なら挨拶するくらいは大丈夫みたいだった。

    「先生、おはようございます」
    「お、よく来たなぁ」
    そういえば魔理沙は学校に来るの久しぶりなのか。
    「魔理沙、行くよ」
    「え、あ…うん」
    平気そうな顔して、物凄く震えてた。
    さっきの先生はかなりフレンドリーってことで有名だからこのままいたらきっとどうでもいいようなことを聞かれるし、答えられないような、例えば休んでた理由とか聞かれるかもしれない。
    そう考えたら離れるのが1番だと考えた。

    さっさと教室に行ってしまうのがいいかもしれない。
    その方が席も近いから見守れるし…。
    「ど、どうしたんだよいきなり」
    「え…教室に向かってるだけだけど」
    「けど、まだ時間あるし…」
    確かにまだ時間はある。
    急いで行かなくたって全然間に合うくらいには。
    でもそれは教室の方が安全だと思ったからで…。

    「どうしたの、らしくないわね」
    「あれ、咲夜だ」
    「あら魔理沙、貴方来たのね」
    「咲夜…」
    咲夜。クラスは違うけど頼りになる友人。
    普段は私がのんびり家を出るからここで会うことはあまりないけど今日は早かったからか、後ろから声を掛けられた。
    「おはよう、霊夢」
    「…おはよ」
    素っ気ない態度を取る私を不思議に思ったように咲夜は首を軽く傾げた。

    「…と、霧雨…来たのか」
    「あ…せんせ」
    廊下の曲がり角からいきなり現れたのは担任の先生だった。
    「ちょっと話があるんだが…今大丈夫かな」
    教室に向かってました、というような持ち物を抱えている担任は、魔理沙だけを連れて行こうとしてるようだった。
    「大丈夫です…」
    「じゃあちょっとこっち来て」
    「はい、あ、霊夢、咲夜また後でね」
    魔理沙はおどおどした様子でそのまま担任について行った。

    「…どうしたの霊夢、あの子が来たのにあんまり嬉しそうじゃないわね」
    「まぁ…ちょっと、ね」
    「魔理沙もやっと戻ってきたと思ったらいつもと違うし、何かあったの」

    言えない。少なくとも魔理沙の許可なく言っていい話じゃない。
    「…言えないなら無理に言わなくてもいいけど」
    「あ、ありがと」
    咲夜は優しい。
    変に首突っ込んで来ないし、ほんとに人として優秀だと思う。
    「それと、あの子は貴方が思ってるほど弱くは無いんじゃない」
    「…え」
    まるで心を読んだのかと思うような言葉に思わず驚いた。

    でも、確かにちょっと心配し過ぎだったかも知れない。
    いや、でも朝あんなだったから…。

    「やぁいやっ」
    「え…魔理沙」
    ついさっき魔理沙が担任と共に消えた曲がり角から声がした。
    その後から担任と思われる男の声が聞こえた。
    はっきりと言葉は聞き取れなかった。
    確かあっちの方に相談室があったはず。
    声のこもり具合からきっとそこにいる。

    立て付けの悪い扉を力任せに開ける。
    扉が外れたような気がするがそんなことに構ってられる余裕はない。
    「魔理沙っ」
    「あ…れいむ…」
    声がした方に目を向けると、そこには床に座り込んで震えている魔理沙と何が起きたのか分からないと言った様子で突っ立っている担任の姿があった。

    「…先生、魔理沙に何したんですか」
    勢いに任せるようにして担任の胸ぐらを掴んだ。
    「何もしてないんだ…、ただちょっと霧雨の背後にあった椅子を出そうと手を伸ばしただけで…」
    担任の言ったことは多分本当だろう。
    これ以上問い詰めても何も解決しないことがわかったので、胸ぐらを掴むのはやめる。

    そもそも担任は何も知らないのだろうか?
    これだけ休んでたのも全部体調不良としか聞いていないのかもしれない。
    「れいむ…」
    こっち来て、と言うように魔理沙は手で私を呼び寄せた。
    「ごめん、大丈夫だって言ったのにこうなっちゃって…」
    「ううん、魔理沙は悪くない。悪いのは…」
    悪いのは見ず知らずの男の方だ。
    なんてそれこそ言ってしまうと思い出してしまうかもしれない。

    「もう、帰る」
    「いや、ちゃんと授業受ける」
    「…そう」
    到底まともに授業が受けれるとは思えない。
    しばらく学校に来ていなかったから間違いなく注目を浴びることになるし、巫山戯てからかうように話しかけてくる男子だってきっといる。
    それでも、頑張ろうとしてるのを止める理由はない。
    「じゃあ、教室行こうか」
    「うん」

    咲夜はもう自分の教室に戻ってしまったのか、廊下にはいなかった。
    教室へ入るともうほとんどの生徒が席に着いていて、魔理沙の姿を見た瞬間ざわついた。
    しばらく来ていなかったのが急に来たらそうなるのも仕方ないのかもしれないけど。
    「魔理沙、あんたの席あそこね」
    「え、あぁうん」
    退屈そうにしていた机の主が帰ってきたことにより、少しだけ視界が狭くなったような気がした。

    何をしてても魔理沙が心配で授業中も頻繁に見ていたのだが、どうやら本当にちゃんと勉強していたみたいで授業にはついていけている。
    休み時間は窓の外をぼんやりと眺めて静かに過ごしているようだった。

    「霊夢」
    魔理沙が話しかけてきたのは昼休みが終わりに近い頃だった。
    「どうしたの」
    「いや、あの」
    きょろきょろと辺りを見渡してから、魔理沙は言った。
    「ちょっと来て」
    何処へ?そう思ったがそれは行けばわかる話なので軽く頷く。

    魔理沙の後をついて行って辿り着いたのは、屋上だった。
    本来は来ては行けない場所なのだが、どうしたのか。
    「ありがとう」
    「うん、で?」
    昼休みが終わる前には教室に戻っておきたいのだが。
    「いやだから…ありがとう」
    それだけの為にわざわざ屋上へ?
    お礼を言うためだけに?
    そう思ったが、確かに教室は人が多いしもしかしたら会話するのも難しいのかもしれない。

    「ん、どういたしまして」
    私がそう返すと、魔理沙は満足げににこっと笑って見せた。
    うん、やっぱりこいつはこうでなきゃ。
    怯えてる姿も可愛いけどやっぱり笑ってるのが1番だと、そう思う。

    「あのさ、学校終わったらちょっと遊ばないか最近家に来てくれてたの嬉しくて…」
    「いいけど、どこで?」
    「どこか。いつも行くようなとこ」
    どうかな、というような軽い上目遣いに胸が高鳴る訳を私はまだ知らない。

    「いいんじゃないそれなら午後の授業も頑張れるよね」
    「…うん」
    教室に戻れば男子がいる。
    それがやっぱり怖いのか、魔理沙は少し間を置いて返事をした。
    大丈夫、なんてちゃんとした事情も知らないのに言えるはずもなく、私はただ小さく笑いかけることしか出来なかった。

    教室に戻った時には昼休みに外に出ていた生徒が帰ってきていた。
    それから息をつく間もなく午後の授業の先生が来て授業が始まった。
    「…で〜、これ分かる人〜…あ、誰も手を挙げないので先生勝手に当てちゃいますね〜」
    つまらない、と思いながらぼんやりと聞いていた先生の声は、次の言葉はぼんやりしていたから聞き間違えたんだと思いたかった。

    「ん〜、じゃ霧雨さん」
    「え」
    「魔理沙」
    思わず立ち上がりそうになった。
    手からするりと抜けたシャーペンがことん、とノートの上に落ちた音がした。
    「そういえば、霧雨さんしばらくお休みだったっけ何かご家庭の事情」
    「あ…え、あのそれ、は…」

    先生に殴りかかりそうになるのを必死にこらえる。
    授業中の為目立ってしまうし、そんなことをしたら魔理沙が1人で学校に行かなくてはならなくなるかもしれない。
    私は、困ってる魔理沙を斜め後ろから見守ることしか出来ない。
    「家庭の…事情です」
    魔理沙はそう言って、その後に式の答えを言ってから席に着いた。
    その事を聞かれて、その時のことを思い出して今朝みたいに取り乱すかと思ったのに。

    そのまま流れるように午後の授業が終わって、帰る時間になった。
    「魔理沙、帰ろ」
    「あ、ちょっと待って、確か先生に呼ばれてたはずだから職員室よらなきゃ」
    ついて行こうか?私が聞くと魔理沙は、大丈夫、待ってて、と言って教室を出ていってしまった。

    しばらく待っていたら、魔理沙が戻ってきた。
    「よし、帰ろう」
    「ん、大丈夫だった」
    「ちょっと聞かれただけだから」
    そう言って、当たり前のように手を繋がれる。
    ちょっとびっくりした。
    「…霊夢帰ろ」
    びっくりして固まってたら、魔理沙が心配そうにそう言ってきた。
    「あ、そうね帰りましょうか」
    手を繋いだまま学校を後にする。

    他の生徒はもうとっくに帰ったみたいで学校の周りに人はいなかった。
    ほっ、と胸を撫で下ろす。
    「手、嫌だった…」
    「え」
    突然そんなことを聞かれて驚く。
    嫌がっているような素振りをした訳でもないし、嫌なわけでも無いのだが。
    「嫌じゃないけど…どうして」
    「え、と…急に繋いだから…嫌だったら申し訳ないなって」
    「友達から手を繋がられて嫌な人っていないと思うけど…」
    びっくりはしたけどね、と言うと魔理沙は安心したようににこっと笑ってくれた。

    「また、繋いでもいい…」
    「もちろん」
    ぎゅっ、と繋いだ手を握り返す。
    それに答えるように魔理沙も握り返してくれる。
    何となく今はそれがただただ嬉しくて、だから私はこの気持ちにはもう少し蓋をしておこうと、そう思った。







    〈あとがき〉

    なんかもうあのめちゃくちゃ長い時間かけたくせによくわからん話になりました
    要するにただきんかわが書きたかっただけ。
    去年から書き始めてたのに!何ヶ月かかってんだよ!?
    もう少し早く書けるようになりたいです(同時進行で色々進めるせいです遅いのは)

    書き始め頃はモチベ高めだったので謎のおまけも書いてたり…する…
    一応あとがきの下に置いとくね()
    ただのきんかわでした。

    それと、私高校生になったのですよ!
    JK!!!
    友達はまだ出来てないけどな!!!
    頑張るぞ〜
    更新頻度下がったらごめんやで…
    特に話すこともないのでこの辺で〜!!!

    じゃ、またね!!!!!




    〈おまけ〉

    ただのモブの会話です
    きんかわです



    「あれ〜?キミ誰?」
    「この辺じゃあんま見ないね〜」
    「ダメだよ〜こんな時間に女の子が1人で歩いてちゃ」
    「ちょっと待って、この子めっちゃ可愛くね?」
    「やめろって〜嫌がってるじゃん」
    「そんなことないって〜…うわっ髪きれ〜」
    「おいちょっと、女の子泣いてるだろ」
    「え〜?どうしたのかな?僕の家に来る?」
    「おまっ、それはダメだろ〜」
    「おー、中々良い下着着てんじゃん」
    「ませてんな〜」
    「それくらいにしとけって…」
    「ん〜もうちょいもうちょい」
    「…っと誰か来てる」
    「え、マジ!?」
    「やば…この子どうするよ」
    「放置でいいんじゃね?」
    「うわー…最低だな」
    「ほんとまじ、なんか人来てるから!!」
    「あ、俺ちょっと喉乾いた〜」
    「じゃあそこのコンビニでも入るか〜」
    「ていうかまじでさっきの子可愛かったよな」
    「ん〜寒い」
    「ほんと寒い」
















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