【現AU曦澄】再会「阿澄……?」
「母上……?」
交差点ですれ違いざまに目を見開いた。
視線の先にはよく似た顔があった。浮かべている表情までまったく同じ、驚愕の色をしている。
思わず足を止めたのも、双方同じ。
「……」
「……」
よく似た二人。誰もが血縁者と思うだろう二人は、けれど、今生においては血の繋がりはなかった。
親子であったのは遠い前世でのこと。
***
ここじゃなんだから。どこか近くの喫茶店にでも。
藍曦臣に促され、いつまでもこんなところで突っ立っていても通りの邪魔だろうと、場所を移した。
「阿澄、なのね」
「はい。母上もお元気そうで何よりです」
近くにあった喫茶店に入り、ぎこちなく再会の挨拶を交わす。現世の名を明かしつつ、互いに馴染みのないそれよりも、前世の名で呼び合うことに同意する。
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