炎と雪の協奏曲───雪が舞う白き国。
そこに住む猗窩座は王家の血筋でありながら、両親に捨てられた青年だった。
正しくは、殺されるところを救い出されたと言うべきなのだが。
双子が忌み嫌われるこの国を治める王家では、兄の狛治は次期王として育てられ、弟の猗窩座は殺されるはずだった。
だが、当時王家の守護戦士だった素流慶蔵が子どもを守りたい王妃から預かり、騎士をやめ[[rb:国境 > くにざかい]]で素流道場を開き、そこで息子として育てることにした。
その後すぐに生まれた、慶蔵の実の娘である恋雪の兄として。
狛治と猗窩座はよく似ていたが、黒髪に空のような青い瞳の狛治に対し、猗窩座は桃色の髪に金色の瞳と大きく異なっていた。
王族である狛治の姿は市中のものには知られていないため、誰も猗窩座が彼の双子だと気がつくものはいなかった。
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