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    Moco

    @Tsugito_51

    腐を含む物書き絵描きです。
    どうぞよろしくお願いします。

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    Moco

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    ナカハン♂︎第二話【ヒペリカム(仮)】
    2-4 前回の続き。ひたすらもだもだしてる。

    ◤◢◤◢注意◤◢◤◢
    ほんのり腐!

    加工屋ナカゴと外部ハンター♂︎、ロイの話。
    ナカ→←ハン♂︎

    第二話分進捗はあと1回分上げます。
    未組立。荒削り。最終的に全部繋がったら整えます。

    ##ナカハン♂︎
    #モンハン腐
    mon-hanRot
    #モンハンライズ
    monghanRise

    ヒペリカム(仮)「…装備、一旦外しますね。手当しないと。」
    似合わない険しい顔のまま手際よく装備を外していく彼に、はは…と息を漏らすようにロイは笑いかける。
    「ナカゴさん、クナイ投げ完璧ですね…あの距離の眼に当てるなんて相当の域ですよ。」
    「…ここは常に戦いと背中合わせの里ですから。僕も、みんなも護る為の必要最低限は身につけてますよ。」
    話しながらも進める手は的確だ。加工屋としての細かい作業技術が生かされてるんだろう。それともこの里ながらの度重なる百竜夜行のために手当が日常と化してしまっているからなのか。

    装備を外し終え、背中に回るとナカゴは軟膏らしきものを塗り止血も兼ねてかきつく包帯が巻いていく。どれぐらいの怪我を負ってしまったのだろうか。じくじくと今更ながら疼いてきた傷は左の指ひとつ動かそうとするだけで背中全体に激痛が走る。しかし意識が保っていられるならきっと御の字な方だ。そう楽観的に留めておかないと次の行動が出来ず命取りになることをハンター業の中で随分と身に染みていた。

    砦下に張り巡らされたこの地下道に爆撃音は聞こえてこない。関門を突破され、より里に近い砦へと向かってしまったのだろう。しゅるしゅると包帯の擦れる音とロイの痛みを逃がそうとする息遣いだけがやけに響いて聞こえていた。
    「…砦に設置している武器は僕も一通り使えるんですけどね。壊れた砲台を的確に直してまたすぐに上げられるのは加工屋しかできませんから。戦場を託す代わりに最大級の攻撃と護りの武器を上に届けるのが僕の役割なんです。」
    背中越しにぽつぽつとナカゴが語り出した。
    「だから連続で砲台がたくさん下がってきた時は驚きました。考えちゃいけないような大被害が起きたんじゃないかって、そう思って駆け寄ったんです。そしたら、みんな無事で。…でも口々に、ロイさんが、ヌシが、って叫んでて。その直ぐに地下道まで熱風が吹き込んできたんです…。ここに届くほどの熱風なんて、そしたら、上は……」
    言葉が途切れた。
    次いでロイの未だに熱く疼く背の裂け目に暖かな温もりが置かれる。これは…手だ。そっと触れられた手のひらの温かさはまるで傷口を癒し塞ぐかのようにロイの体の中に染み渡っていく。
    「そう思ったらいてもたってもいられなくて、そのまま壊れた砲台に乗って上へ飛びだしてしまいました。クナイしかない丸腰だったのに、里守としてだめですよねぇ…。」

    ナカゴはわかっているんだろうか。
    淡々と話すには随分と熱烈な話を聞かされ心がくらくらする。
    連携と役割が要のこの戦場で彼は思うまま衝動で行動に出たという。武具は狩猟の要だと口癖の彼が武器を手に取ることも忘れ、なりふり構わず自分を助けるために。
    今すぐ触れたいと、顔が見たいと思った。
    そうしないとこのくらくらと揺らめく心から隠した想いが喜びとともに染み出てしまいそうだった。
    体の自由がきかなくてもどかしい。早く早くと衝動ばかりが募っていく。少しでも動いてほしい。彼の言葉にも応えたいから。

    じれったくも鈍く動く右手を肩にまわす。指先がつるりとした感触に触れた。これは加工の邪魔にならないようにと整えられたナカゴの爪だ。
    初めて自分から触れた指先は手のひらの温かさとは違い随分と冷えていた。温めるように未だ顔も見えない彼の存在を確かめるように小さなその面積をそっと丁寧に指先で撫でていく。
    いつもナカゴは出迎えてくれて居場所と喜びを与えてくれた。どんなにそれが何も無かった自分の心の確かな拠り所になってくれたか。だから、せめて今は自分が渡せる熱で温めてあげたいと思った。
    冷えた部分を撫でさする。黙って続けさせてくれる彼は今はどんな事を思っているのだろうか。
    次第にほんのりと暖かくなってきた感触にほっとする。はたと、あの焦がれた手に触れている…その事実に気づいた。今更ながらにいつも以上のきりきりと甘く絞られる痛みにすり替わっていく。
    触れるというのはこんなに支配されてしまうものなのか。少しだけ…嬉しさに募ってしまった分だけ渡してもいいだろうか。こんな時なのに欲を出すとはずるい自分だ。隠して指先に想いをのせて、あと少しだけ、と彼の指をそっと撫で続けた。


    ナカゴが身じろぐのを感じた。
    まだ戦いは終わっていない。自分も戻らなければいけない。
    心地よい彼の体温が名残惜しくとも離れる選択をとらねばと力を込める。
    突然、解こうとした指先をきゅっと捕まれた。体を締め付けられる感覚と同時に自分より少し温かいものにまるごと包まれる。
    抱きしめられている。そう分かったのは自分の腹に回った逞しい腕の感触と首筋にふ、とかかった息の存在からだった。ふる、と無意識に首を竦める。
    普段感じることのない体に直接響く相手の鼓動に、吐息に、顔に朱が昇っていく。先程よりも強く香るナカゴのにおいに満たされ心臓が遅れてばくばくと忙しなく動き始めた。
    だめだ。ばれてしまう。どうして。いきなり。
    「…なにか、どうしていいかわからなくて。安否確認して手当して、僕もロイさんも持ち場に戻る。それでいいはずなのに。」
    動揺を遮ったのは抱きしめる背後、耳元で話すナカゴの切羽詰まる声だった。
    「変なんです。ご飯のときおいしいって食べるロイさんとか、僕の仕事を邪魔しないようにって少し離れたところから見て笑ってるロイさんとか、そんないつもの日々がどんどん浮かんでくるんです。まだ、まだ百竜夜行は終わってないってわかってるんです。でも、このまま離したくなくて…」
    ぐっと抱き込まれる力が強くなった。傷口が引き攣れるぎりっとした痛みがはしるがどうでもよかった。その先の、話しながら感情の答えを求めるナカゴの本音を聞き逃したくなかった。

    「生きててくれて力が抜けるほどほっとしたんです…間に合って、よかった。今ここにいてくれる事が何よりも僕は嬉しかったんです…ロイさん。」

    は、と零れそうになる息をロイはのみこんだ。このまま出してしまえば目頭を熱くさせているもう一方の耐えているものも零してしまいそうだった。
    そこまで貴方の心の中に入れてくれていたんですね。幼子の時の約束を勝手に辿って来た外部の俺のことを、そこまで。

    首をことりと動かした。頬に触れたのは自分の肩口に顔を乗せているナカゴの頬だ。すり、と動かすと意外に柔らかかった。
    「顔、みせて。見たい。ナカゴさん。」
    「…離れるのは嫌です。」
    「…前からもう一回、でもだめですか。」
    ぐい、と膝に乗せあげられ両足を抱え込んでぐっと体を回された。横抱きの体制にされ、思ったよりも近くに見えたナカゴの顔に更に心臓が跳ね上がる。望んだこととはいえこれ以上動かしたら壊れてしまうかもしれない。
    見たいと焦がれた彼の顔は何だか拗ねた顔のようで。それでも耳から頬までかぁっと朱がかかっているのはきっと自分と同じ想いなのかもしれない。でも確かめる前に、決着が先だ。
    「心配かけてすみません。でもちゃんと生きてるから。ナカゴさんが作ってくれた装備が俺を護ってくれたんですよ。死ぬわけないじゃないですか。」
    ナカゴの手を握った。ぽかぽかと自分より温かくなった手に触れていると自分の手もほんのりと温もっていく。
    「…ヌシ・リオレウス、里のみんなで倒しましょう。この里は強いから、来たことを後悔させてやりましょうよ。」
    そう言った後意識して微笑んだ。大丈夫なんだと彼に届いただろうか。
    「…回復薬、すぐに渡さずすみません。痛い思いをずっとさせてしまって。…それと、里のみんなを守ってくれてありがとうございました。これも言いそびれてしまってました。」
    暫くして、ふ、と笑ったナカゴの顔はいつもの穏やかさを取り戻していた。次いで手をのばし、応急箱から回復薬を取り出す。
    「わかってると思いますが、回復薬は一時的に体力を上昇回復させるものですから。傷は塞がらないので…無理はしないでくださいね。」
    わかってますよ、と返すつもりだった。
    そのままナカゴはぐっと回復薬を口につけあおった。まさかの行動にぽかんとしていると後頭部を固定され、唇を指が掠めていく。
    あ、と思った時にはもうナカゴの顔がぼやけるほど近くて。唇に彼の同じ箇所が重なる。
    軽く触れる彼の唇は少しかさついていてとけそうな程柔らかくて。
    「…ぅ、ん!」
    キスされているんだと、認識すると一気に全身が熱くなった。もうさっきからずっと動悸がばくばくと忙しないのにこれでは体中の血も沸騰してしまうのではないか。目の前の光景が信じられなくてきつく目をつぶる。
    口の端に置かれた指がとんとん、と叩く。混乱する頭のまま意識をそちらに向け考える。これは、合図だ。でも、何の。
    指がお互いの口の端から侵入してくる。そうか、開けろってことだ。
    薄く唇を開く。回復薬の慣れた味を口内に感じる。
    「…く。…ぅん。ん。」
    むせないように少しずつ注ぎ込まれるその液体をこくこくと必死に飲み下した。集中していないと恥ずかしさに無闇矢鱈に叫び出しそうだった。
    無くなると足されて二度三度と繰り返される。
    やがて痛みが鈍くなっていくのを感じた。
    ずっと体の感覚を独占していた唇の柔らかい感触も離れる。ふは、と息を吐き、強く閉じすぎてちかちかする目を開けるとぼんやりとした視界の中、赤めいた笑顔でこちらを見つめているナカゴと目が合った。
    「…なんですか。」
    「…ロイさんってやっぱり可愛いなと思って。」
    「あー!もう!」

    勢いで立ち上がる。くら、と体が揺らいだが立てている。次第にいつも通り動けるようになってくるだろう。装備をがちゃがちゃと音を立てながら付ける。ヌシの爪痕で一部壊れてはいるがまだ大丈夫だ。
    それよりもなによりも、だ。
    「なんでそう、一足飛びどころじゃなくしれっと突っ走るんですか!なんかもう、色々と…!」
    「いや、飲めないかなぁと。」
    「……っ!もう!」
    振り返ると思った以上にナカゴは近くにいて。
    ロイの髪をさらさらと遊ぶように撫でていく。
    「本音は、すごく触れたいと思ったんです。すみません。」
    そう、悪いとひとつも思ってない嬉しくて堪らないような顔をされたらもう何も言えなかった。
    その顔は自分がさせてるのだから。嬉しくないはずがない。自分のだってきっと人の事言えたものじゃない。立ち上がり誤魔化す前からずっと体が熱いのだから。真っ赤なままでナカゴを見つめてしまってるに違いない。嫌がってないことも、もうばれているんだろう。

    「…終わったら、お互いの思うこと一緒か答え合わせしますよ。」
    「やる気も充分貰ったのでばっちりです。」
    「う…。し、尻尾、切り落としてお土産に持っていきますからね。」
    「ついでに紅玉もお願いします。」
    「あーもう!全部承りました!」

    翔蟲を出したのは同時だった。
    タイミングの良さにくすっと笑い、ナカゴに拳を差し出すとこつんと同じく拳をぶつけて返してくる。

    「「いきましょう!」」

    それぞれの戦いの場所へと、翔蟲を飛ばした。
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