おねだり 真斗が帰宅すると定位置からスマホと鍵がなくなっていて、レンはどこかへでかけたようだった。帰ったぞとだけチャットを送って真斗が待っていると、早々にレンが帰ってきた。
ただいまとおかえりのキスをしたレンだったが、真斗の目を引いたのはレンの姿。レンはこちらに来るとき、時々こうして学生服を着ている。
「お前はまたそんな薄着で……コートもマフラーも場所は教えてあるだろう?」
「寒くないよ、すぐ建物の中だもん。それに制服は見せておいた方が得が多いのさ」
「は?」
「ヒマそうな顔してたらコーヒーおごってもらえる」
「お前というやつは……! 悪い大人にホイホイついていくな。あと代金を払え馬鹿者」
「お礼ならしてるよ。悩みを聞いて相づち打ったり、一緒にプリクラ撮ったり、あとは普通に買い物に付き合って、荷物持ったり選んであげたりとか……、いろいろ」
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