微睡みの蝶と、優しさの温度と、冬の月の26日。
その日、リュカは朝からふわふわとしていた。夢見心地といえばいいのだろうか。
「ふぁ……」
今日は仕事が休みの日。だから日が高くなる時間まで惰眠をむさぼっていた。(尚、彼は仕事の日でもよく寝坊するのだが、そこは今回追及しない。)
常時睡眠不足なので、寝起きでもまだまだ眠たいのはいつものことだが、今日はやけに胸が高鳴っている、気がする。一体何故だろうか。
――自分の誕生日である27日まで目前だからだろうか?
(そんな、誕生日を楽しみにしてどきどきする、だなんて……子供じゃあるまいし)
今までの誕生日だって「楽しみにしてない」と言ったら嘘になるが、流石にここまで浮ついた気持ちにはならなかった。
――いや。今までと違うことに、一つだけ、心当たりがある。
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