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    IokkQe3

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    IokkQe3

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    間に合わなかった企画小説 温室から出るのはワクワクします!
     
     ヨウコソ。コンパスへ。
     コンパス‥王宮とはまた違う景色です。
     聖歌隊の皆も居なければ、皆さん賑やかで凄く楽しそうです。
    「ソーン、来たのか。」
    「あ、兄様!」
     兄様の手には何か握られていて、そちらを見せてくださりました。
    「兄様、ソレは何ですか?」
    「コレはデータチップと呼ばれる俺達が戦って得た【データ】がこの小さなチップに入っている。
     ソーンもいつかバトルに参加する様になるから、まずはコチラを解析所にセットして来るから少し待っててくれ。」
     優しく頭を撫でてくれる兄様の手は相変わらずひんやりとして気持ちがいいです。
     ────数分後
     兄様が解析所から帰って来て、ホームと呼ばれる場所を案内してくださりました。
    「わぁぁぁお城の宝物庫みたいです!」
     カードプールと呼ばれるカード置き場はキラキラしたり、色鮮やかでお城の宝物庫みたいで凄くワクワクします!
    「ソーンの為にレディが用意してくれたカードです。」
     兄様が4枚のケースに入ったカードを見せてくれて、それぞれ説明をしてくれましたが‥ボクには難しいです‥。
    「‥兄様、コチラは?」
    「バトルで使う俺達の補助をしてくれる魔法の様なものだ。
     しかし‥回復が2枚、ふふ。
     防御カードを持たないとはレディは相当ガードブレイクが苦手なようですね。」
     ふふ、と笑いながら兄様はボクより前に居たからこそボクの為に用意してくれたこの4枚の意味を理解しているようです。
    「バトルについて、基礎知識を教えるからよく聞いておけよ。」
     兄様がコンパスの事について色々教えてくださり、分かったことを整理してみます。
     コンパスの世界は3分間の陣取り合戦のようなもので、人数有利を取れば強いかと言われたらそうでは無く、最後まで諦めずに戦う事が大事だという事。
     ボクはヒーローと呼ばれる5本の柱「ポータルキー」に入力されている戦闘摂理の【データ】を集める為の存在。
     そしてそのポータルキーの本数が多い方が勝利するという事、1秒でも気を抜いてしまうと負けてしまうという事。
     データチップにはブロンズと呼ばれる軽いカードから始まり、慣れてきた頃にはブロンズのデータチップは手に入らなくなり、バトルで手に入るのはシルバー、ゴールド、プラチナの3種類。
     そして勝利すればその3種類のデータチップがランダムに配布され、そのデータチップを解析所に置くのがボクたちの仕事。
    「ソーン、そう言えばレディ達がな‥」
    「えぇっ?!そうなんですか!?」
     兄様から耳打ちされた言葉にびっくりしながらも、試しにバトルに行って来いと背中を押された。
    「‥兄様、もし、兄様が敵に居た場合は‥」
     ボクは兄様とは戦いたくないですが‥
    「構わん、殺れ。」
     そっ、即答ですかぁ?!
    「‥レディも一時期、キル取るのこわぁい!なんてほざいてやがりましたがね。
     あくまでも敵は敵。
     自分が危ないと思ったら構わず殺れ。」
     兄様‥冷徹さも必要だと言ってますもんね、ボクも兄様みたいに‥冷徹さも持てるようになりたいです‥。
     兄様はレディの稽古もつけながらボクとも稽古をしてくださる優しい方です。
     お師匠様から教わった魔術も試してみたかったので、凄くバトルが楽しみです。

     ───
     兄様と一緒に歩いていたらデッキを見ながらレディが悩んでいました。
    「‥ガンナーミッションかぁ。」 
    「それならソーンの初陣はいかがでしょう」
     兄様がボクの背中を軽く押しながら、ボクを勧めてくれたのは凄く嬉しかった。
    「‥よ、よろしくお願いします!!」
     レディに頭を下げると一緒にフリーバトルに行けるようになりました。

     ───フリーバトルデマッチング中デス。
     うわぁぁ、ドキドキする‥。
     でも、兄様だって出来ることだからボクだって出来ます!
    「国の威信にかけて恥じぬ戦いを」
    「このマルゲリータうめぇぇぇ!」
     ─準備ハヨロシイデスカ?
     開始されたら、味方の兄様が支持を出してくれました。
    「ソーン、ポータルが2本ある方に降りろ」
    「私めはアチラからサポートさせていただきます。」
     兄様の言う様に2点側に降りて、一番近くのポータルキーを獲得しました。
     兄様と敵の2人はこちらの出方を伺っているようです。
    「狐とイスタカか‥」
    「わ、痛た」
     頭から奇襲なんて酷いですぅ
     兄様がしかけてCを獲得できましたが、ここからが勝負の仕掛けどころ。
    「失せろ」
     ふわぁぁ、やっぱりカッコイイな、兄様♡
     ボクも頑張らないと
    「お、オドを集中します」
    「リオート・メーチ「こんっ」
     氷柱が当たった
     ようし、このまま‥氷柱を続けて‥兄様にやれば出来ること、見せるんだ
     氷柱の隙間からボクの射程範囲に入ったので通常に切り替えて‥
    「ふぅ‥危なかったぁ‥」
     兄様、見てくれましたか?!
     と見ても兄様は前線に出ているので見てくれませんでした‥。
     3分間という長くて短いような試合ですが、初陣で味方に兄様が来てくれるのはボクの運にもよるのですね
     残り1分、Cだけは死守せねばなりません。
     兄様が落ちているからボク1人で二人の相手は‥賭けに出ましょう。
    「氷点の魔獣よ‥
    目覚めよ、グラナート!」
     アイシクル・ロードで逆転を狙います
     ただ、アイシクル・ロードは無防備だから兄様が帰ってくる時間稼ぎ程度にしかなりませんが…。
     一か八かです。
    「ふぅ‥うまく制御できました‥」
    「守れなかった‥お父さんっ‥」
     味方の兄様が氷を割って狐ヶ咲さんを落とせたから、勝機はこちらに向いてきました。
     残り数秒でもいい、この勝機を逃す訳には行きません
     ボクが残り3秒‥ラストキルされてしまいましたが何とか勝てました。

     ───勝利デス。
    「やりましたぁ
    見ていてくださいましたか?
    えへへ」 
     ホームに変えればさっき頂いたデータチップを解析所に置き、兄様に抱きついた。
    「勝ちましたよ兄様っ」
     兄様もびっくりしながらボクの頭をなでてくれて、まだ1勝。
     ですが、ずっと護られていたばかりのボクにとってはそれが大きな一歩なのは間違いないです。
    「‥よくやったな、ソーン。」
     優しく微笑みながら頭を撫でてくれる兄様。
     
     ボクの唯一の肉親ですから、今度はボクが兄様を護る番です。
    「えへへ‥。
     兄様には指一本触れさせませんから」
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