ポセこじ(男性妊娠・オリジナルお子様あり)ある日フラッと消えた小次郎が赤子を連れて帰還した。道中に大泣きしたようで目元が赤く腫れているようだった。
帰還して来た事を門番から聞き、急いで駆けつけたブリュンヒルデとフリストが「どうしたのか」と聞くと「神様に捨てられてしまったよ。でもこの子を貰えたから」と話しながら腕の中で大人しく眠る赤子を撫でる。
2人がその子を見ると淡い金色の髪をしており、閉じられた瞳はわからないが感じる神力は神が恐れる神と同一のモノだった
「小次郎……」
「たは、こんな爺が綺麗な神様に少しでも愛されてると思ってた罰かねぇ。海の神様に仕えてる女神様から海の神様が吾に飽きたと言っていた。いないうちに出ていけと言われてな……」
「あんのクソ神が……」
その言葉を聞いたフリストが『轟く者』に変化し、怒りを爆発させブリュンヒルデは茫然と立ち竦んでいた。
「あーー嬢ちゃん達よぉ、そんなに怒らんでいいぞ。吾はこの子が居ればいいんだ。なぁ……青藍(せいらん)」
「……」
静かに眠る海神の娘である青藍を撫でて微笑む小次郎の姿に2人の戦乙女は口を閉ざしたのだった
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「余の妻と娘は何処に行った。答えろ」
海の王、大海の暴君ポセイドンは近衛兵に拘束される女神へ冷酷に命ずるが原初に連なる神の怒りにただひたすら身体を震わせる事しか出来ず答えられない女神の姿を濁った青黒い瞳で見下ろしていた
「近衛兵、牢へ連れて行け。沙汰は追って出す」
「はっ!!」
「プロテウス、余は小次郎と青藍を探す。お前で処理出来る物は処理しておけ。」
「了承致しました」
白いコートを翻し、玉座から去ろうとしたポセイドンに近衛兵が連行しようとしていた女神が叫ぶ
「貴方様に人間の血を引く娘なんて必要ありません!!下等な人間に何故寵愛を授けたのですか!!あんな汚らわし…っ、ぐっ…うッ……」
「……何と言った?汚らわしいだと?愛妻と愛娘を悪しき様に言われ、余が黙っていると思ったか」
女神の肩に突き刺したトライデントを勢いよく抜き、ダンッと床に叩きつける。ビリビリとした圧にその場にいる神全てが頭を下げ、女神は血を流しながら床に倒れる
「……2人を探しに行く。後の事は頼んだ」
「いってらっしゃいませ。御家族揃っての御帰還をお待ちしております」
トライデントを消したポセイドンは倒れた女神の事は既に忘却し、頭を下げたままの従者にそう告げると姿を消し、従者は消えた主とその后と姫の帰還を願い続けていた
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戦乙女が急いで用意したベビーベッドに寝せられた愛娘の隣に持ってきて貰った椅子に座りながら小次郎は夫のポセイドンに贈られたラズライトで彩られたチョーカーを見ていた
「……共に生きるというのは嘘だったのかね」
手に持ったチョーカーをぼぉっと見ていると隣から「ふぎゃあふぎゃあ」と泣き声が耳に入り、急いで机にチョーカーを置いて泣きぐずる娘を抱き上げてあやす。泣き止んだ娘がきゃらきゃら笑うのを見て小次郎は安心してそのまま椅子に座り込む
「ん?どうした?これか?これはお前さんの父様がくれたモンだ」
「あう?」
ラズライトの輝きに興味を示した娘に机の上から持ち上げ、娘が見えるようにすると触れようとした為、小次郎が「危険だぞ」と取れないようにする。「ぶーー!!」と不服そうな声をだす娘に苦笑しながら城の庭でも歩いてくるかと椅子から立ち上がって外へ出ようとしたと同時に部屋の扉が物凄い勢いで開け放たれた
「こ、こ、小次郎!!」
「どうした?嬢ちゃん」
「奴が、奴が来たんだよっ!!!!」
慌てている様子のフリストに引き摺られるように小次郎と抱っこされたままの娘は客をもてなす為の客間に連れて行かれるとそこには自分達を捨てたはずの夫神がブリュンヒルデと対峙していた
「は?え……?ポセイドン?なにゆえ、ここに……?」
「お前達を迎えに来たのだが?」
「てめぇが2人を捨てたんだろうが!!今さら来てんじゃないよ!!」
「……何故、余が2人を捨てなくてはいけない?小次郎、お前は余の妻で、そして青藍は余の娘だ。あぁ、余の侍女などと名乗っておった愚者の話を真面目に聞いたのか」
ブリュンヒルデの脇を通り、小次郎と自身の娘を守るよう立ちはだかるフリストを見下ろしながら