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    くぅみ

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    くぅみ

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    少し、長い話になりそうなので進捗。
    需要あるといいなぁ

    #五悠
    fiveYo
    #モブ目線

    甘味処 虎杖(仮)毎週、日曜日、しがないOLのわたしには密かな楽しみがある。
    それは、近くの公園にやって来る可愛らしいオレンジのキッチンカー『甘味処 虎杖』
    甘味処というとあんみつやぜんざいをの餡子を思いだしてしまうけれど、実際には優しい味のするマフィンやクッキーが並んでいる。

    そして、わたしのお目当てのジェラート。ここのジェラートを食べると1週間の疲れとストレスが一気に解消されて不思議とまた、元気に働こうと前向きになれるのだ。
    そんな、不思議なジェラートを出す、『甘味処 虎杖』はリピーターも多くオープンと同時にたくさんの人がやってくる人気店なので、わたしは必ずオープンすぐに足を向けることにしている。お目当てはジェラートだけでなく、推しに逢いからだったりする。
    「こんにちは。また来ちゃいました」
    「あ!お姉さんこんにちわ。いらっしゃい」
    うん。今日の推しも元気だわ。
    元気に挨拶してくれるのはここの店長のゆーじくん、はちみつ色の瞳にピンクベージュと黒のツーブロックで一見怖そうに見えるがその、笑顔を見ると誰もが彼のファンにになってしまうほどに癒されるのだ。
    かくいうわたしも、彼のお日様のような笑顔のファンの1人だったりする。
    「お姉さん、今週も疲れてんね。また、ずっとパソコン見てた?」
    「そうなのよ。わかる?だから今日もゆーじくんスペシャルでお願い」
    「了解。ダブルになるからカップにすんね。脹相、会計よろしく」
    キッチンの方に移動したゆーじくんと入れ替わり外から黒髪の愛想のないギャルソン姿の男性かレジ前に立つ。見た目はモデルのような見た目なのに受ける雰囲気が怖いので苦手なのだ。
    「カップのダブルで650円になります」
    「はい。これで」
    携帯を出して決済を済ませる。
    「ありがとうございました。商品はあちらでお受け取りください」
    慇懃無礼とはこのことかと思うほど事務的なのでこちらもついつい憮然となってしまう。すると奥から
    「脹相、笑顔!お姉さんごめんね。家の兄、愛想なくてさ。はい、おまたせ。今日はキウイとヨーグルト。あとナッツをおまけしといた」
    とゆーじくんが笑顔で手渡してくれる。
    「ありがとう。これでまた頑張れるわ」
    「ありがとうございました」
    笑顔のゆーじくんに見送られて、キッチンカーの前にあるテーブル席に座り、ジェラートを食べながらクルクルと笑顔で働いているゆーじくんを観察するのが毎週の楽しみ。
    あー、今日も推しが尊い!これで来週も乗り切れる!

    そんな、わたしの推し活ライフにここ最近、暗雲が立ち込めている。
    「悠仁、来たよ」
    「あ!五条さんいらっしゃい。昨日店に来たのにまた来たん?」
    「悠仁のつくる甘いもの食べないと調子が出なくて。毎日来ちゃう」
    「そう言ってもらうと俺も嬉しいよ。今日はどうする?」
    ゆーじくんが満面の笑みで迎えているのは真っ黒い服にアイマスクの長身の男性。その髪は嫌味なほど綺麗なプラチナブロンド。怪しいことこの上ないのに絶対にイケメンだとわかってしまうのが憎たらしい。
    この人にゆーじくんを近づかせてはいけないとわたしの本能が叫んでいるけれど単なる客の立場では見守るしかない。
    しかも、いつの間にか本店の『甘味処 虎杖』にも通ってていて、名前まで覚えられてるなんて負けたようで悔しい。
    そして悲しいことに同じ人物を見ているのだから認知もされる。チラリとこちらを見た男がフフンと勝ち誇ったようにわたしを見てせせら笑った。やっぱりムカつくと思いながらもゆーじくんが楽しそうなので、ジェラートを食べながら悔しさを飲み込んだ。いつか本店も行ってやると決意も新たにしたのだった。

    「こんにちわ…」
    こじんまりした和風の格子戸をおずおすと開けるとそこには広々とした土間にソファ席が3つ、カウターが5席の贅沢な吹き抜けのある思った以上にお洒落な和風喫茶店に驚かされた。
    「いらっしゃいませ。おひとり様ですか」
    店の奥から姿を現したのはスタイリッシュな
    ギャルソン姿のゆーじくんの兄だった。
    「あ、そうです。あの、ここって甘味処 虎杖で間違いないですよね?貴方がいるし…」
    おずおずと問いかけるとジロリと睨まれた。
    「間違ない。ここは俺たち兄弟の店だが文句あるか?」
    「あ、ありません…」
    やっぱりこの人苦手だ。と思いながらキョロキョロと辺りを見渡すがゆーじくんの姿が見えずガッカリする。
    「残念だったな。悠仁は学校だ。どうする何か飲んでいくか?」
    「はい」
    「それではこちらへどうぞ」
    空いたソファ席に案内され、メニューを手渡された。
    メニューにはジェラート以外にもワッフルやケーキ以外にも和菓子もありカフェとしてもかなり充実してる。
    結局迷った末、ケーキセットを頼んだ。時間のせいかお客はわたし1人。日頃の疲れもあり少し目を閉じているとカランとドアの開く音。
    「ただいま!」
    元気で明るい声にはっと顔を上げるとそこには学生服のゆーじくんが。
    若いとは思っていたけど高校生だったんだ。しかも学ランで下から赤のフードなんて。もう、それだけで思わず100点の札を上げそうになった。
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